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【BL】勇者推しの俺が何故か敵対する魔王に転生してました。【全年齢版】  作者: のがみさんちのはろさん
二章

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第12話 【吹雪の中にある国】



 部屋に戻り、俺は洗面台で顔を洗った。

 ちょっと泣きすぎたかな。でも嬉しかったんだから仕方ない。

 もしクラッドやリドがまだ何か未練とかあったりしたらどうしようって思っていたから、安心した。

 自称魔王に奪われた魔王の体にはもう、クラッドの魂はいないんだな。

 俺は二人が並んで一緒にいるところを見れなかったから、生まれ変わりでもああして元気に過ごしているのを見れたのは良かった。


「……っし」


 俺は気合いを入れようと頬を両手で叩いた。

 またこの世界に来れてよかった。本当に。


「伊織、大丈夫?」

「うん、もう平気」

「そっか」


 蓮が俺の頭を撫でてくれる。

 急に泣き出して蓮だって驚いただろうに、お前は優しいな。

 あの子達にもまた会えたら謝らないと。

 でも、明日は早朝に立つからさすがに無理かな。


「じゃあ、寝ようか」

「おう……」


 俺らは無駄にでかいキングサイズのベッドに横たわり、蓮の腕を枕にして眠りについた。

 俺はツインの部屋でもいいと言ったんだけど、蓮が絶対にここが良いって譲らなかったんだ。

 恥ずかしいやつ。



ーーーー

ーー


 翌朝。俺らは陽が昇る前に起きて出発した。

 冷たい空気が肌を刺す。さらに北に進めばもっと寒くなるんだろうな。

 俺は蓮の背中に担がれ、ジェットコースターみたいな移動をしてる。

 勇者の跳躍力、想像以上に凄い。地面を軽く蹴り上げただけでどんだけ飛んでるんだよ。山の中も忍者漫画とかで見るような移動の仕方してるぞ。俺が飛ぶより早い気がする。

 とりあえずコイツが道に迷わないように気をつけないと。


「伊織、大丈夫?」

「俺は平気だ。ちゃんと掴んでるから安心しろ」


 これなら今日中にノイングリフ国に着けそうだ。

 この山を越えればもうすぐだ。

 あとは鍛冶師に剣を鍛えてもらえれば、すぐにでも自称魔王のところに行ける。

 さっさとぶっ飛ばして、元の世界に戻るぞ。向こうはクリスマスなんだ。俺は蓮とクリスマスを過ごしたいんだ。


「っ、うぉお!」


 山頂まで来ると、雪の勢いが強くなってきた。

 物凄い雪国だな。俺は防御結界を張って吹雪を遮断した。

 さっきまでの雪はまだ平気だったけど、ここまでの吹雪となるとキツイな。こんなところに国があるのかよ。どうやって暮らしてるんだ。


「視界が悪いな。さすがにここからは走るのは危ないかな」

「あぁ、そうだな。ゆっくり下山してノイングリフに行こう」

「伊織、ちゃんと掴まっててよ」

「分かってるって」


 足元に注意しながら蓮は山を降りていく。

 俺が雲の上まで飛んじゃえば雪も関係ないんだけど、蓮が張り切ってるから邪魔しないであげよう。



ーーーー

ーー


 何とか下山して、ノイングリフ国の前まで来た。

 国の周りは大きな塀で囲われていて、この雪を避けている。

 ドドーリーさんが報酬と一緒にくれた通行証を関所で見せて、中に入った。


「よし。じゃあ鍛冶屋を探すぞ」

「ガッドさん、だっけ? 誰かに聞けば分かるかな」

「有名な鍛冶師だって言ってたし、すぐ見つかるだろ」


 俺らは適当にすれ違った人にガッドという鍛冶師が何処にいるのかを聞いてみた。

 すると、みんなが口を揃えて言う。


「やめておいた方がいいよ」


 どうやらガッドという鍛冶師は相当な頑固者で気に入った相手にしか剣を作らないそうだ。

 何十年何百年、千年経ってもそういう頑固な職人っていうのは存在するんだな。


「と、とりあえず会ってみないと……」

「工房はあの路地裏にあるって言ってたね」


 蓮が指を差した方向に俺たちは向かった。

 そういえば、ゲームでもそういう頑固職人っていたな。サブクエストだったけど、その人の依頼をこなして武器を作ってもらうってのがあった。

 ゲームだと会話は基本的に選択肢だし、クエストも頼まれた素材を持ってくるだけだった。

 でも今回は実際に剣を作って貰えるように交渉しないといけない。

 ちゃんと話を聞いてもらえるかな。



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