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【BL】勇者推しの俺が何故か敵対する魔王に転生してました。【全年齢版】  作者: のがみさんちのはろさん
一章

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第46話 「お別れ」



 真っ暗。

 何も、見えない。

 本当に、死んだんだな。

 ごめん。ごめんな、クラッド。せっかくお前が生かしてくれたのに。

 結局、俺はまた死んじゃった。


 ふと、何かの気配を感じた。

 知ってる。ずっと一緒にいたんだから、分かる。


 クラッド。お前、そこにいるのか。

 俺が気付くと、目の前にクラッドが現れた。

 俺のこと、怒ってるか。お前の願いを俺は叶えられなかった。


 クラッドが、ゆっくりと横に首を振った。

 そして、優しい笑みを浮かべてる。

 俺を、許してくれるのか。勇者への想いを捨てきれなかった俺を。


 クラッドの口が動く。だけど声は聞こえない。

 でも、少しだけ分かった。

 大丈夫、と。


 何が大丈夫なんだ。

 確かに神剣は魔王城にある。リドもいる。でも、誰も争わない世界にはならなかった。

 神剣の加護で人々から魔物は守られるかもしれない。でも、人間はきっと争うことをやめない。世界は、平等にはならなかった。

 エルの言う通り、そんな世界は最初から無理だったんだ。


 また、クラッドの口が動く。今度はしっかり読み取った。

 ーー世界は変わった。魔物と人間、異なる種族である者同士が手を結べる時がくる。それを、証明してくれた。


 俺とエルが、そうだと言うのか。


 ーーそうだ。我には出来なかったこと。それに、あの勇者が各地で言葉にしていた。魔物は敵ではないと。話し合えば分かり合える、と。

 これはお前と出会えたから、勇者の認識が変わったんだ。間違いなく、お前のおかげだ。


 アイツ。エルが、そんなことを言ってたのか。

 なんだよ、本当に。なんでお前はそうなんだよ。どうして、そこまでしてくれるんだ。そんなこと口にして、みんなから反感買ったらどうする。勇者って立場が危うくなるんだぞ

 ああ、もう。勝ち目がないよ。もう、完敗だ。


 ーーもう、この世界に勇者も魔王も必要ない。だからお前も、在るべき場所に帰るといい。お前を待ってる人の元に。


 え。何言ってるんだ。俺はもう死んだんだ。どこに帰れって言うんだ。天国か、地獄か?

 それに、待ってる人ってなんだよ。

 魔王だった俺は、やっぱり地獄に行くのかな。

 もし生まれ変われるのなら、今度は何になるのかな。

 そんなことを思っていると、クラッドが俺の肩を押した。

 倒れる。

 クラッドが、遠ざかっていく。

 待って。待って、クラッド。俺、まだお前と話したいこと沢山あるんだ。

 クラッド。クラッド、地獄でも天国でもいい。一緒に行こうよ。


 なぁ、俺を1人にしないでくれ。



「ありがとう、イオリ」





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