目覚め
前書きの場を借りて挨拶させていただきます。はじめまして、ればにらのにものです。本作、アルスストーリアは、ればにらとninonoの二人で物語を考えています。メインストーリー設定と執筆はればにら、キャラクターデザインや一部設定、イラストをninonoがやっています。「ぼくたちのかんがえたさいきょうのものがたり!」みたいな、厨二心をくすぐる作品になればいいなと思います。これからよろしくお願いします!
(表紙を描いたので、記念すべき1話に載せておきます by ninono)
「…、『……』、はやく起きなさい、私の可愛い『………』。今日はあなたの………」
どこか懐かしい夢を見て目覚めた。辺りは静寂に包まれた森の中、目の前には新しい焚き火の燃えかすがあり、それを挟んだ少し遠くに大男が立っている。私が目を覚ましたのを見たそいつ、グレゴはにっこりと笑い、
「おう、今日は久しぶりに時間通りに見張りが交代出来そうじゃねえか!どうだ?寝覚め
はいいか?」
とのしのし芝生を踏みながらこちらへ向かってきた。
「ああ、なんだか懐かしい夢を見たんだ。気分は最高だね」
少し笑いながら向かってくる旅の仲間にそう答え、徐に立ち上がった。
グレゴとの旅はもう半年になるだろうか、きっかけは野盗に襲われ壊滅した彼の村に通りかかったことだった。わざわざ一番強い奴のいない時を見計らって襲ったという事実が、生来卑怯な手が嫌いな私の逆鱗に触れたのでグレゴと協力し、野盗を壊滅させた。それから、まぁ紆余曲折ありつつも彼は旅に同行することになった。
「そろそろ夜明けだし、朝飯狩りに行ってくるよ」
火おこしをしているグレゴに一声かけて、日課の朝狩りへと赴いた。携帯食の兼ね合いもあるので角兎が 4 匹ぐらい獲れれば良いのだが、逃げ足が早い奴らなので上手くいくかはやや不安だ。得物を持って野営場所のすぐそこにあった森に入ると割とすんなり見つかった。しかし数が多い。6匹ぐらいの群れだ。いくら弱いと言っても魔物は魔物、下手をすると囲まれて角で突き刺されてそのまま死んでしまう可能性もあるぐらいには危険なやつだ。
(一旦グレゴのところに戻ろう)
そう思って振りむいた時にやらかしてしまった。踏んだ枝がパキッと鳴った。6匹の魔物が一斉に襲いかかってくる。
「まずい!まずい!まずい!グレゴーっ!助けてくれーっ!」
火おこしをしているであろう彼に叫ぶと、
「おうおうおう!今朝の朝飯はご馳走だな!」
得物である巨大な斧を担いでこっちへ走ってきてくれた。
「すまねえ、助かった!」
「いいってことよ!ラニ、俺たちの力をウサギどもに見せてやろうぜ!」
頼もしいことを言いながら豪快に斧を振り上げる彼と共に、私も自分の剣を抜き、角兎の群れへと向かって行った。
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「ふう、数こそ多かったがまあ所詮は角兎だな。怪我はないか、ラニ?」
「ああ、おかげ様で。さてと、2匹は朝飯、4匹は干し肉にしよう。手伝ってくれない?」
もちろんさ、と手際よく小刀で皮と肉とを解体するグレゴは、2匹を焚き火で焼き始めた時にふと思い付いたかのように勢いよく立ち上がり、地図を広げながら
「そういやもうすぐ町の近くを通りがかるんだよな?一杯飲んでいかねえか?」
「いいねぇ!それに、酒だけじゃなくて武器も修繕しときたいし、ついでに冒険者協会でもあればいいんだけどな…」
旅をしていると娯楽というものがとにかくない。目新しいものや美しい景色を見ることができるがそれ以外はずっと歩いて、歩いて、歩いての繰り返しで疲労がとにかく溜まる。さらにモンスターや野盗どもが襲ってくる危険もあり心休まる時間が全くないのだ。そんな中での娯楽は道々の村で賭け事を楽しむか酒を飲む程度である。
「この前出たクラッセ村から南にまっすぐ進んだから次に着くのは…このエルへの町か。名前の割に確か町の大半がスラム街らしいから武具屋はまともか怪しいなぁ…」
「まあ多分酒場はあるだろうし気を落とすなよ、ラニ。それに、ぼったくられたらぶっ飛ばしてやりゃあいいんだ!」
大きく笑うグレゴに私はただ苦笑いをするしかなかった。
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二人で物語を書いている都合上、しばらくは毎月1日と15日の月2投稿になります!頻度低いですがブックマークして追ってくださるとうれしいです!