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First gift  作者: 御伽
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第一章 1.僕が誰でなんの話か

第一章)

 カーテンからこぼれ落ちた僅かな光を顔に受けながら目を覚ます。


 「…うーん」


 布団の中で少し悶えた後、体を起こし布団から抜け出した僕はそのまま洗面所へと向かった。

 冷たい水が眠気の残る顔を殴りつけ、僕の脳を覚醒させる。夏も終わり冷えだしてきたこの季節では少し冷たすぎたのだろうか、僕は顔を拭きながら体を震わせた。


 「さて」


 洗面所を出て、今日の朝食を作るために台所に立った僕は、棚から二枚ほどパンを取り出し金網の上に乗せた後、パンを焼くために蠟燭にマッチで火を灯した。

 蝋燭を金網の下に設置した後、別の棚から生卵とハムを二枚ほど、そして先日自分で作ったイチゴジャムを取り出した。


 割った卵とハムを一枚のパンに乗せ、もう一枚のパンを取った後、表面にイチゴジャムを塗りたくった。

 卵とハムを乗せたパンが焼きあがるのを待ちながら、もう一枚のパンを頬張ると、口の中にジャムの程よい甘さとパンのしっかりとした旨味が広がってきた。


 口の中に広がる幸せに浸りながら、予め用意していたコップに牛乳を注ぎ込んだ。

 と、そうこうしているうちにもう一枚のパンが焼きあがったようなので金網から回収し、蝋燭を金網の下から取り出してそっと火を消した。


 「あ・・・いただきます」

 僕としたことが、食欲に従順になりすぎていたようだ、まさか食前の挨拶を忘れるとは。

 "1人暮らしになっても食前食後の礼儀は守ること"という遠くの実家に住む両親の言いつけを思い出しながらトーストを頬張った。


 ・・・そう、これはあの日の朝の僕。何の変哲もない、いつも通りの一日の始まり、少なくともこの時の僕はそう思っていた。

 でも違ったんだ、これは僕の人生を変えた特別な、いや運命の日と言っても過言じゃない・・・そんな日の始まりの朝だったんだ。

 さて、ここいらで僕の自己紹介をしておこう、じゃないと、得体の知れない男が勝手に話してるだけだからね。


 安心してほしいのは、僕がとある王国の王子様でも、名のある大悪党の息子でもないってこと。

 僕の名前はドネ。実家を離れ、とある小さな街で修理屋を営んでいる、平凡な男さ。

 ちなみにこのドネという名前は両親の実家の国の言葉で"与える"という意味らしい、ウチの親はいいセンスしてるよ、お世辞抜きで。


 そんな僕はというとちゃーんと両親がつけてくれたこの名前に恥じない働きをしている。

 僕の仕事は主に、壊れた機械の修理や頼まれた部品の発注の請け負いだが、たまに1から機械を作ることもある。でもそういうときは大体小さな機械か、機械が修理できないくらいボロボロに壊れてたときくらいだ。


 ほんとは大きな機械の修理や製造もしたいんだけど僕の工房はそんなに大きくないから、修理や製造に必要な道具を置けないので今は部品の発注のみで我慢している。

 次に僕の住んでいる街なんだけど・・・え?僕の街の話なんて興味ないし、そもそもなんでそんな自分の事を語りだしたりしたのかって?このせっかちめ、話は最後まで聞くもんだよ。

 仕方ない、この話はまた今度にするとしよう。


 さて、なんで自語りをはじめたのかだったね。今から話すことのために、僕のことを大まかにでも話す必要があったんだよ。

 そうしないと、話についてこれないからね。

 そろそろ、何の話をするのか説明しないとね。僕が今から君に話すのは、僕が体験した、夢で見た御伽話のような、そんな話さ。

 そして、僕と彼女が出会ったきっかけでもある、始まりの物語。

 小説の言葉から取るなら・・・そうだな、第1章。うん、この言葉が一番しっくりくる。

前回の投稿から少し間が空きましたが、無事第一章を投稿することができました。僕の書く小説は誰でも読みやすく、楽しめるようにをモットーに書いていきたいと思っておりますのでこれからも応援、よろしくお願いします。

あ、そうそう。話の中で出てきたパンは僕がよく朝食に食べるものをモチーフにしました。実際おいしいので、よかったらご自宅で作ってみてださい。

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