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第6話 父との再会

 それから私は警察官に車に乗せられマザーセントラルビルに連行された。

 そして医務室にて腕を応急処置でギブスをはめられると手荒く面会室へ押し込められた。

 数時間放置された挙げ句にようやく人が面会室にやってきた。


 「よくあれだけの事故で片腕一つだけですんだもんだな」

 聞き慣れた声だ。私が顔を上げると白髪に無精髭を生やした男がタバコをふかしながら呆れた様子で私に言った。


 「親父かよ……」


 「これで何度目だ?近頃は更生して真面目に働いてると思えばこの有様だ。

 お前は顔が知れてるんだ、これ以上私の顔に泥を塗るな」


 「迷惑かけるなっていつもそればっか、親父はいつもそうだ、こんな時にしか私の前に現れない。私のことなんかもうどうだっていいんだろ?」

   

 「……」

 その言葉に親父は無言を貫いた。ただタバコを何度も吸っては吐いてを繰り返すだけ、その態度が余計に私を苛立たせた。


 「図星かよ、なんとか言ったらどうなんだよ」

 私は悔しくて目に涙がをにじませた。


 「泣くなお前ももう子供じゃあるまい」

 私はこの言葉に拳を強く握りしめ、怒りをぐっと堪えた。  


 「その言葉母さんにも同じことがいえるのかよ」

 その言葉をきき、親父が震える私の拳をみるなり「会話はやめだ」と言わんばかりに私に背を向け、扉を少し開き誰かに言う。


 「連れていけ女のヒステリックはかなわん」

 すると部屋に二人の警官が入ってきて、私の両腕を引っ張り部屋から出そうとした。

 私は必死に抵抗して親父に食い下がって抑えていた怒りを爆発させた。


 「あんたはそうやって逃げて私と向き合おうともしない、意気地なしだ。臆病者!!」


 「クレア母親の事はいいかげんに忘れろ。奴はもういないんだ。

 今回だけは大目にみてやる。だか次はないぞ、覚えておけ。つれていけ」


 「糞……」

 私は抵抗も虚しくそのまま、二人の警官に引きづられてマザーセントラルの外まで連れていかれ、釈放となった。


 マザーセントラルの一室で30代前半程を男性が私の父親に話しかけた。 

 「娘さんにそんなに厳しくあたってよろしんですか?彼女跡取りなんでしょ?」


 「だからこそ厳しく教育してるのだ。トップに立つ者物事を冷酷に判断せねばならん。いつまでも情に振り回されては困る」


 「仰る通りです。それでマザーシステムの1件どのようにして抑めるつもりですか?完全にロストしたそうじゃないですか?」


 「カイル急くな、所詮は奴の行いなど悪あがきに過ぎんのだ。マザーの体はここにあるのだからな、奴は否応でも体を求めてやってくるはずだ」

 お父さんはそう言う灰皿に煙草を押し付け部屋を後にした。




 私はバイクを失い長い距離をなんとかバスを乗り継いで、おやっさんのバーまで戻ってくることができた。


 「なんだいなんだい。アンタだけのそのそ戻ってきて、主人はまた捕まっちまったよ」

 奥さんが私を責めたてたが、言われて当たり前だ。私は申し訳気持ちになり必死に謝った。


 「すみません本当にすみません」


 「それであの子はどうするんだい?またうちにころがりこんじまってまぁ」

 その言葉を聞き私ははっとなり奥さんに聞いた。


 「リィナここに戻ってきてるんですか?」


 「ほらそこにいるよ」

 奥さんはバーの奥にある居間を指差し、私がそちらを見やるとしゃがみ込み縮こまるリィナの姿があった。


 「リィナ!!」


 私の声に気付きリィナが居間からこちらに駆け込んで私に抱きついた。 

 「クレア大丈夫だった?私ずっと心配してたの」

 リィナが私の腕のギブスに気付き、掴んでいた手を離した。


 「腕怪我したのね、みせて」

 リィナが私の腕に手をかざすが途中で拒絶するように上からリィナの手を抑えた。


 「リィナお前もう帰れ」


 「えっ?」

 リィナが驚きのあまり聞き返した。


 「聞こえたろもう帰れ、おやっさんの言った通り帰れる場所があるならそこが一番いい」


 「私あそこには帰らないよ」


 「わがままを言ってみんなを困らせるな、元を返せば全部リィナのせいじゃないか、私だってこんな思いをせずに済んだ」

 感情がコントロールできなくて私は強くリィナに当たった。


 「お父さんに会ったのね、お父さんに何か辛い事言われたの?」

 

 「リィナには関係ないだろ」

 私は触れられたくことを言われ余計に声を荒らげた。


 「そんなことない」

 それでも引き下がろうとしないリィナに、私はとうとう自分の怒り彼女にぶつけてしまう。


 「お前のせいだよ全部、私だってやっと立ち直れかけてたのに。

こんなことならはじめからお前なんか助けたりするんじゃなかった」


 「酷いよクレア私はただ貴方を助けたかっただけなのに」

 それを聞いたリィナがショックのあまり涙声になり小刻みに震えだした。


 「余計なお世話なんだよ」


 「クレアの馬鹿!!」

 リィナは涙を流し捨て台詞を吐くとその場から立ち去りどこかへいなくなってしまった。


 「あらあんた追わんでいいのかい?」

 奥さんが気不味そうに顔を出し、心配そうに私に言った。


 「リィナなら大丈夫です。私も帰ります。ご迷惑おかけましたおばさん」

 私は店の前に停めた自分のバイクにエンジンをかけ何も考えないようにして、自宅アパートを目指した。


 「構うもんかあんなガキ。何を気にかけることがあるんだ、いつものクソみたいな生活に戻っただけじゃないか」

前作小説、アサの旅完結してますのでこちらも是非お願いします。

https://ncode.syosetu.com/n5210hp/

長押しすると開けます。


小説投稿日は月火休みで、水〜金18時40分投稿。土日13時より投稿します。

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