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第24最終話 for your mind only

 暗闇の中で鳥のさえずりに、波が水を打ち付けるような大きな音が私の耳元に届いた。

 深い眠りから覚めるかのように、重い目蓋を開くとそこには信じられないような光景が広がっていた。

 そこは朝日が照りつける、沢山の滝に囲まれたジャングルの中だった。

 滝が飛沫をあげ、空を見上げるとそこには一筋の大きな虹がかかっていた。


 私は呆気にとられながらもおもむろに起き上がると、首もとからじゃらっとチェーンが擦れる音がきこえてきた。

 視線はそのままにチェーンを手でたどっていきペンダントを手にとり、そこでようやく視線を下げた。ピンを押し込み、中を開くとそこには何も入っていなかった。

 数秒の間をおいてから、不思議と口元が緩んだ。

 確かに視覚的には何も見えてないはずなのに、心の中にお母さんの顔がしっかりと刻まれていっているが分かったからだ。

 私はペンダントを握りしめ、大きく腕を振りかぶって滝の底にペンダントを力いっぱいに投げ入れた。


 もう私は忘れたりなんかしない。この世界で精一杯生きようと思う。

 私の短く切った髪は黒色で、確かにあの世界ではしっかり染まってたはずなんだけど、今見えてる世界が現実のものなのか直ぐに信じることが出来なかった。

 隣に横たわる私がここまで乗ってきたであろうバイクも、今ではみるかげもなく、古びててボロボロでなっており、これはではもう走ることも叶わないだろう。倒れたバイクのサイドミラーはみごとに割れ地面に破片が散らばっていた。

 私はその破片を1つ手に取ると自分の頬に傷をつけた。

 手についた赤い血をみることで白と黒の世界じゃないことに私は安心した。


 私には今私の目に映るものに驚きが大き過ぎて、この世界が現実なんだとは到底思えなかった。

 もしかしたらこの世界も誰かの作り物なのかもしれない。

 でもこの世界が本物かどうかなんて問題じゃない。重要なのは私が選択したということ。


 私の中で消えかけた音楽がよみがえってくる。

 その曲の名前はリィナが私に教えてくれたあの曲。

 for your mind only.(あなたの心のためだけに〜)



                      完

for your mind onlyは楽曲の名前です。実際にこの音楽は存在します。

 YouTube上で聴いてもらってこの物語を締めくくってもらえたらと思います。

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