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第19話 マザーセントラル侵入

 大きな黒塗りの門が出迎え、左右についたカメラから光学投射されまるで私をスキャンしてるようだ。認識が完了したのか門が地響きをあげゆっくりと開いてゆく。


 「親父のやつ私を招くつもりか」

 私がカメラに向かって睨みを利かせるとそのレンズを通して、親父がマザーシステムフロアからその映像をモニターで見ていた。

 その隣には勿論リィナの姿もあった。

 「クレアきちゃ駄目」


 「ほう知り合いか」


 「お前は最後まで口を割らなかったが、どうやら答えは出たようだな。マザーあれがお前の保護者というのか、どちらが母親か分かったもんじゃないな」


 「静か過ぎる内部は無人?」

 いや違う通路には沢山の横たわるスタッフがいた。みなヘルメットを着用している。私はある一人のスタッフのヘルメット取り外しヘルメットを耳元に近付けると。   


 「酷いノイズだ」

 中から大音量のホワイトノイズが聴こえ、私は不快のあまりすぐにヘルメットを耳から離した。


 「夢の世界が強制的にシャットダウンされて戻れなくなったのか?……はっ!?」

 私はある事に気付いた。職場での出来事だ。


 「リィナと出会ったあの日の翌日、反対番の人達とは会わなかった。レイチェルさんは業務が進められず、翌日の復旧への見込みがあったら、早めに帰らせたと言ってたけど、翌日の朝礼では日勤だけのチーム編成になっていた。仕事が忙しいにも関わらずだ。みんな廃人に……」


 「大人は勝手だよ都合が悪いことは平気で隠す。あんな危険な装置を使うべきじゃない」

 私は拳を強く握り怒りを滲ませ立ち上がると通路を渡り、突き当りエレベーターの呼出スイッチを押すが反応がない。


 「リィナがいなくなって、ここも機能を止めてるのか」

 私は仕方なく非常階段を渡ったが、なにせラズベル1の高層ビルだ。何階まであるのか知りたくもないが気が遠くなる数なのは確かだった。


 10階ほど進んだ所で、疲れから壁により掛かり休んでいると隣のエレベーターからベルがなった。


 「動いた?まさかリィナが」

 私はリィナが無性に心配になりエレベーターの開いた扉を急いでくぐった。

 扉が閉まると私がボタンを押すことなく自動で最上階のボタンが光った。

 エレベーターでも最上階までの道のりは長く、私は最悪の自体を色々考え気持ち悪くなっていく。

ただ早くリィナの安否を知りたい、でも急ぎたくてもエレベーターは一定のスピードで登り続ける。

 隅の小型カメラのレンズが僅かに動きそれと同時にエレベーターがスピードを増し上昇した。


ちん



最上階につくと今までのフロアとは違い

真っ暗で、エレベーターの光だけが私を照らしている。

一歩進めばたちまち闇に呑み込まれてしまうだろう。しかし私が一歩、歩みを進めると足元の一歩先に赤い光が1つ点灯していく私が進むごとにそれは1つ線ををつくっていった。

 私は導かれるままに進んでいくと青白く光る広いフロアに出た。


 そこはマザーシステムの中枢区のスーパーコンピュータの内部だった。

巨大なコンピュータが左右に二台あり、その中央にさらに巨大なマザーシステムあった、中心には成人男性程の大きさのマザーシステムのコアのダイヤ状ものがゆっくりと回転している。青い光を放っていたのはマザーシステムのコアだったんだ。


その間を何段にも足場が巡らされていた。


 私より高い位置の足場に金色の髪の少女が崩れるように倒れていた。


 「リィナ!!」


 「まさかマザーをかくまってたのがお実の娘とはな」

 聞き慣れた声、奥の陰から親父が姿を現した。


 「ああそうだよ、だったら文句ある?親父リィナは返して貰うよ」

 私は親父に銃を構える。


 「クレアごめんなさい私、貴方を危険な目に合わせてしまって……」


 「大丈夫、今迎えにいくからそこで待ってて」



 「リィナか、マザーお前に名前なんて必要ないだろ。お前は俺の言うとおりにこの世界を動かせば、それでいい」


 「親父リィナに手荒な真似はよせ」


 「ふん、どうやら相当こいつに入れ込んでるようだな。目を覚ませ、お前はこいつが何者なのか知っているのか?」


 「リィナは……私の大切な友達だ」


 「友達だと?ふははは、随分と笑わせてくれるじゃないか。人間ですらないこいつがどうやったらお前の友達になれるというのだ?」


 「リィナという名前もお前を取り込むために作った名前でしかない。

 こいつはただのシステムだ、私が作りだした産物でしかない。

 こいつはずっとお前のことを騙していたんだぞ、それが許せるのか?」


 「私クレアを騙してなんかない!!」

 リィナが腹の底から叫び、次の瞬間銃声が辺り響いた。


 私が撃った銃弾が親父の髪をかすめ数本地面に舞い落ちる。


 「それ以上リィナを侮辱するな糞親父。私は本気だ。リィナを今すぐ解放しろ。

 でなきゃアンタを殺す」


 「父に歯向かうというのだな、マザーを失えばこの世界はどうなる?、この世界の形を維持できなくなるんだぞ。お前は自分達だけの言い分で、この世界の住民すべてを犠牲にするというのか?」


 「こんな死んだように人を生かせて一体何の意味があるんだ。だったらそんな世界はじめからなくなればいいんだ。そうすればもうあんな不幸も繰り返されない」


 「お前母親に似てきたな。いや母親の真似事をしているのか?母さんはもうーー」


 「死んでない、お母さんは死んでなんかいない。あんたの生きる世界から抜け出しただけだ。

 私もリィナと一緒にこの世界から抜け出す。邪魔をするなら」


 「良かろう。撃て、さぁ撃ってみろ。貴様の覚悟やらをみせてみろ」

 私は親父の挑発に乗りリボルバーの引き金を引いた。

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