第12話 勉強会
ピピピーーカチ。
いつものように目覚まし時計のアラームを止め今日の1日を迎える。
「おはようリィナ」
「おはようクレア」
テーブルにはもう朝食の用意が済まされており、リィナは私が起きる待ってたみたい。
「いただきます」
今日は昨日の残りの豚汁にご飯、そして新たに目玉焼き。相変わらず底が黒いのは変わらず、黄身も中まで火がしっかり通されてる。
「行ってきます」
「いってらっしゃい」
リィナに出迎えられ、バイクを走らせ職場の駐輪場に着くとフタバとあった。
先に声を掛けたのはフタバだった。
「クレアおはよう」
「フタバおはよう」
「クレアが早起きなんて珍しいこと」
フタバが丸い目してカートリッジ私に言う。
「ならフタバにとって珍しいことは続くと思うよ。昨日レイチェルさんに呼び出されただろ?」
「うん」
「管理の仕事目指さないかって誘われたんだ」
「それで受けるの?」
「うん受けようと思って。それで余裕ある行動をってね」
私は襟を正し誇らしげに言った。
「なるほどね人も変わるものね、男かしら?」
「なにさだから何もないって言ってるだろ」
「昨日見たって子がいるのよ、男と帰っていくところ?」
ギク
「あれはたまたまだよ。サイジョウさんもレイチェルさんに呼ばれてて、それで成り行きで一緒に帰ることになったんだ」
「ふんそういうことにしといてあげる。クレア応援してるわよ」
「それってどういうーー」
「2つの意味でよ、クレアには幸せになってもらわなくちゃ」
「フタバは?」
「私は毎日を生きてるだけでも幸せだもの」
今日も昨日と変わらず大忙しだった。時間を気にしてる暇なんてない。ずっと喘息疾走してる気分だ。
業務終了後私はレイチェルさんのデスクに立ち寄り昨日の返事を返した。
「レイチェルさん昨日のお誘い受けようと思います」
「そう嬉しいわ。じゃーこれテキスト、月末に試験会場にきてね、詳しいことはおってメールするわ」
テキストを持って通路を歩いているとサイジョウさんに会った。
「そのテキスト?クレアさんも受けることにしたんですね」
サイジョウさんが私のテキストに気付き、嬉しさのあまりに私の手を握った。
「はい」
男の人に手なんて握られたことなんてないから私は顔を赤らめ固まってしまった。
するとフタバが通りかかり、邪魔はしまねんとそのまま知らんぷりして通り過ぎてしまった。
「フタバ」
私がフタバに視線を送り、助けを求めたがフタバは振り向いてくれなかった。
「あのクレアさんお話したいこともあるので、一緒に帰りませんか?」
「ええ、いいですよ」
また成り行きでサイジョウさんと帰宅をともにすることになった。
「この先に図書館があるんです。仕事が終わったあと2時間ほど開いてるんで、そこで一緒に勉強しませんか?」
サイジョウさんが私に地図をみせ図書館で勉強しないか私に誘いかける。
少し照れくさいけど勉強のためになるのならと私は1つ返事で「いいですよ」と返した。
リィナには自宅のパソコンにメールを送り今日は、遅れることを伝えた。
「お互いわからないことがあれば、恥ずかしがらず聞きましょう」
そして図書館につき勉強をすることに。テキストを開きながらサイジョウさんと一緒に問題を解いていくが、分からないことを聞くのは私ばっかり。それがなんだか惨めでとても恥ずかった。
勉強を終えサイジョウさんと別れる。
「あーなんかずっとテンパってて酷い2時間だった。サイジョウさん私に幻滅しちゃったかな、毎日って言ってたけど明日誘われなかったらどうしよ」
自宅に到着し。
「ただいま」
「おかえりクレア」
リィナは私の顔をみてすぐに私が元気がないことを察した。
「元気ないの?楽しい勉強会じゃなかったの」
「それがーー」
私はリィナに今日の出来事を話した。
「ははは、それは大変だったわね」
「笑いごとじょないよ、私死ぬほど恥ずかしかったんだから」
「大丈夫、恥ずかしくて死ぬことはないから」
「そういう問題じゃないよ、これから毎日勉強会するんだよ。毎日恥ずかしい思いするのはやだよ。こんなことだったら断われば良かった」
うつむく私にリィナはニヤニヤと何か考えがあるかのよう笑ってみせた。
「クレア1番大事なことを忘れてない?」
「大事なこと?」
「私はだーれ?」
リィナが自分に指を差し言った。
「リィナだよそんなの」
「そう私がいるじゃない」
「リィナがいたってどうにも………そっかリィナこの世界のことならなんでも知ってるって」
私は目からウロコが落ちるかのようにはっとした。
「こほん、私が勉強つけてあげるわ」
「助かるよリィナ、明日ここから先やるってサイジョウさん言ってた。早速教えてリィナ」
私はわらにもすがる気持ちでリィナに言った。
「仕方ないなぁ、じゃー今日のご飯はカップ麺ね」
「全然それでいいよ」
私はそれからリィナに1時間程勉強を見てもらった。
「よし5ページ分終わったー。それにしてもハードだなこれを毎日しなきゃいけないなんて、試験まで3週間あるよ」
「人間やろうと思えば出来るものよ、辛いのははじめだけ、すぐに体も慣れるわ」
「ちょっと待てよ、こんなことしなくても、リィナならテストの回答分かるだろ?」
その言葉をきくなりリィナはそれまでの穏やかな口調をやめ、私に怒った。
「クレアあなたはなんでそうやってすぐ楽な道ばかり選ぶの」
「冗談だよ、努力しますよ」
本当は冗談じゃなかったけど、本当のことを言ったらリィナに殺されそうだ。