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春を知らせに

作者: ねこ

今の時期に合わせた童話です。

楽しんで行って下さい!


それではどうぞ!

 雪が溶けだしたある冬の朝。スノードロップから1人の妖精が飛び立った。


「うーん!良い朝ね。寒いけど心地良いんだよねー。」


 私はスノードロップの妖精。もうすぐ春がくるのでその準備しています。


「さーて。山神様は目を覚まされたかしら?」


 ここ最近の日課になってしまっている。


「山神様ー起きてますか?」

「……」


「ダメかー……このままだと春が来ないなー……そうだ!」


 私はある事を思いついて平原へと向かいます。そして平原に着くとある花の妖精を探してみる。


「おーい!アヤメ!どこにいるの?起きてるー?」


 そう。私はアヤメという花の妖精を起こしに来たのだ。そしてアヤメの花を見つけた。


「アヤメー!もう春になるぞ!起きて!」


 私はアヤメの蕾をトントンと叩いて起こしてみた。


「もぉー……誰ですか?私を起こしに来たのはー……ってスノードロップさん⁉︎」


 私の顔を見るなりアヤメは驚いていた。


「どうしたんですか?まだ山神様は起きてないのでしょ?」

「そうよ。でも起きないからアヤメを先に起こしに来たの。」


「……順番……間違えてませんか?」

「そうですよ。でも、もうお昼は暖かいでしょ?」


「そういえば……」

「もうかれこれ10日も山神様の所に行ってるんです。それなのに起きないからアヤメを先に起こしたの。」


「そういう事なのですね。では、山神様を起こしに行きましょう。」

「いいえ、まだもう1人起こしてから行きます。」


「えっ?誰を起こすのですか?」

「チューリップです。」


「なるほど。確かにあの子が起こしに行けば起きるでしょうね。」


 そうして2人の妖精は人里近くまで降りて行った。すると花壇に植えられたチューリップを見つけた。


「あっ!スノードロップとアヤメだ!おはよう!」


 2人は少し離れているのにチューリップの妖精の物凄い大声に耳を塞いでしまう。


「あー!そんな大声出さないでも聞こえていますよ!はいおはよう!」

「いやー、ごめんごめん!春が来たから嬉しくてついね!」


 あははっと笑うチューリップにスノードロップとアヤメは顔を見合わせて困った顔をした。


「まだ春は来てないですよ。」

「えっ?なんで?こんなに暖かいのに?」


「山神様がまだ起きてないんです。」

「ですから、あなたを起こしにきたのです。その元気な声なら山神様も起きるはずですから。」


「そういう事か!じゃあ行こう!すぐ行こう!」

「ちょっと!待ちなさい!」


 話を聞くや否やチューリップは早速山へと向かってしまった。そして山神様のいる御神木へやってきた3人。


「山神様ー!春になってますよー!起きて下さーい!」


 チューリップの大声のせいでスノードロップとアヤメは耳を塞いでいる事しか出来なかった。でもおかげで……


「ん……おおーチューリップか?早起きだの。」

「山神様が遅いのです!もう暖かいですよ!」


 チューリップは少しふくれっつらをして山神様に文句を言っていた。それでも怒っては訳ではなく休日に遊びに行く約束をしてなかなか起きてこないお父さんと子供の様であった。


「いやー、すまんすまん。寒くての。スノードロップもアヤメも来てくれたのじゃな。ありがとう。」


「いえいえ、冬の花の仕事ですので。」

「私も春への先駆けの花ですから当然な事をしたまでです。」


 スノードロップとアヤメは礼儀正しくお辞儀をするのであった。


「では、春の知らせを出さねばならんな。」


 そう言うと山神様は風の神様を呼んだ。


「おやおや、今年は遅かったな。山神よ。」

「すまんな。暖かい風を1つ頼んだぞ風神。」


「おう!任せな!」


 そう言うと風神様は風になってひとっ飛びして平原や街を駆け巡った。


「あー!あったかい!」

「いよいよ春ですね。」

「ええ、私はそろそろ寝ないと……」


 暖かい風が吹いた事で私は急に眠くなってきた。


「そっか、スノードロップは冬の花だもんね。」

「ええー!もう少し起きててよー!春になるんだよ!」


「チューリップ。無理を言ってはなりませんよ。」

「あ、あなたは……」


「なんじゃ、サクラも来たのか。今年は賑やかだの。」

「今年は知らせが遅いので心配になりまして、ここまで見に来たのです。」


「そうか、心配かけたの。じゃが今春の風を送って貰った。もう心配ないぞ。」


 山神様の一言でサクラも一安心する。


「そうですか。では、頑張ってくれたスノードロップにはお礼をせねばなりませんね。」


 サクラは私の近くまで来ると私の頬に手を添えた。


「今年はご苦労様でした。これはお礼です。」


 サクラはサクラの花びらの髪飾りを私の髪に付けてくれた。


「ありがとう……ございます……」


 私はお礼を言うとそのまま眠ってしまうのでした。


「あれ?スノードロップは寝ちゃったの?」

「ええ、春が来ましたからね。冬の花の妖精達は皆眠ってしまうのでます。」


 アヤメはスノードロップをおんぶしてあげた。


「スノードロップは私が送って行きます。」

「うむ、頼んだぞ。さぁ、春も本番じゃ!今年もよろしくの。」


「「「はい!」」」


 こうして今年も春が来るのでした。


「ああ、チューリップよ。あやつも起こして来てくれんか。もう十分に光も満ちたじゃろ。」

「はーい!」


 山神様に言われてチューリップは平原へと飛んで来た。


「ガーベラ!起きて!春だよ!」

「ふふふ。あなたは本当に元気ね。おはよう今年もよろしくね。」


 さぁ、春がくるよ。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

今回紹介した花の妖精は花言葉にちなんでおります。あくまでも一例ですので他の意味もあります。なので調べてみても良いかもしれませんね。


スノードロップ  希望

アヤメ      良い知らせ

チューリップ   思いやり

さくら      精神美

ガーベラ     光に満ちた


以上です。チューリップだけ少しキャラ作り間違えましたが皆さんはどうでしたか?


楽しんで頂けてたら幸いです。


それでは次回の童話もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ら、可愛らしいお話ね 花達がねぼすけな山神さんを起こします そして冬が終り春の始まりを告げます 可愛らしいお話、ありがとうございました
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