クズ彼氏のおかげ!
正樹に無理矢理キスを迫られたんだけど…
なんか…
ふわってきて
ギュッってハグされた。
正樹じゃなくない⁈
何が起きたの?
「だれだよお前‼︎」
正樹の声。
すると、私を抱きしめた人が片手で壁ドン
しながら
「オレの彼女なんだけど?やめてもらえない
かなぁ。」
って言った。
海里君⁈
しかも片手の壁ドン。
私を守ってくれてるの⁈
すると正樹が
「は?彼氏できたのかよ」
って言って舌打ちしながら帰って行った。
スルスル…ストン。
腰が抜けてしまった。
とりあえず、海里君を見上げて
「あ、ありがとう」ってお礼を言った。
すると、
「手荒なまねしてごめん。いきなびっくりし
たよね。」
なんて謝られてしまった。
なんて謙虚な。
「ううん。助かった…」
座り込んだ私の隣に並んで座った海里君。
「オレ、しばらく由美香ちゃんの彼氏役やっ
たらダメかな?」
海里君…
なら、甘えさせてもらっちゃおうかな。
あんな怖い思いしたくないし…
「お願いしてもいいんですか?」
「うん。よろしく」
ってにっこり微笑みかけてくれた海里君。
「こちらこそお願いします」
「うん。じゃさ、まず敬語やめよっか。同い
年なんだし」
って笑う海里君。
だから、私も
「うん。だね」
って笑った。
なんか、海里君といると楽しいし落ち着く
な。
たまに、正樹がこっちをじっとみてきたり
するんだけど以前よりその回数も減ってき
た。
海里君のおかげだ!
でも、海里君いつまで私に付き合ってくれ
るんだろう…
最近は、毎日一緒に帰ってる。
もう、本当のカップルみたいにみんなに思
われてる。
海里君迷惑じゃないのかな…
ちょっと勇気を出して言ってみた。
「海里君、なんか一回彼氏役お願いしたから、
責任感みたいな感じで助けてくれたんでし
ょ。でも、本当嫌ならもう大丈夫だからね。
元カレも最近だいぶ静かになってきたし。
なんか、迷惑かけっぱなしでごめんね」
そう言うと海里君。
「確かに、一回彼氏役やってから由美香ちゃ
んの事気になって。心配ってのもあったけ
ど、なんかほっとけない。てか守ってあげ
たいっておもうようになって。で、あの時
事件が起きたでしょ。もうあの時は、とっ
さにからだが動いてさ。いやいやじゃない
よ」
恥ずかしそうに言う海里君。
とっさに守ってくれたんだ。
なんだか、自分から話を振ったのに赤くな
ってしまった。
海里君は、いつまでも私を守ってくれた。
でも、元カレも静かになった。
バレンタインに私の気持ちを打ち明けて、
それで恋人ごっこ終了しよう。
バレンタイン当日。
今日も海里君が私のために待っていてくれ
た。
いつもありがとう…
よし!
「海里君、今までずっと守ってくれてありが
とう。でも、もう元カレ大丈夫みたいだか
ら、恋人のふり終了でいいよ。このチョコ
お礼も兼ねて受け取ってください。付き合
ってるみたいで楽しかったし、ドキドキし
た。でもいつまでも迷惑かけれないから、
だから今までありがとう。」
そう言ってチョコを差し出した。
「うん、なら恋人ごっこ終わりにしよう。
でさ、これからは、本当に付き合わない?
恋人として」
「え?本当に付き合う…いいの?」
「うん。本当は、ずっと好きだった。だから
どう?」
え、好きでいてくれたんだ。
嬉しい。
「実は、私も助けてもらってからずっと好き
だった。でも、このままフリしてもらうの
悪いって思ってたけど、海里君も同じ気持
ちだったなんて嬉しい。」
「じゃ、付き合ってくれるんだ?」
「うん。」
海里君に笑顔で答えた。
「じゃあ、恋人なんだからいいよね」
そういいながら優しく私を抱きしめてくれ
た。
「あったかい」
「うん。そうだね。実はずっと恋人のフリ大
変だったんだよ。オレ何回もあー抱きしめ
てーって思った事あってさ。」
恥ずかしそうに笑う海里君。
「そうなんだ?ならそん時抱きしめてくれた
らよかったな。そしたらもっとはやく恋人
になれてたかもねっ」
フフッ。
「だな。」
二人で顔を見合わせて笑った。
あー、元彼がくずでよかった。
だってこんな素敵な彼氏できたんだもん。