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第9話〜自由のために全力(で手を抜く)

昼食を食べたら少しだけ休憩時間だ。


幼馴染みメイドのマリアに入れてもらった紅茶の香りを楽しみながらの優雅なティーブレイク。


ペットボトルの紅茶くらいしか飲んだことのなかったから紅茶なんてあまり好きじゃなかったけど、この体になってから味覚や嗅覚が格段に良くなったせいか、お昼のこの瞬間が一日で一番ゆったり過ごせる時間になった。


ちなみにマリアは典型的なドジっ娘メイド、というわけではなく、単に年が近いので昔から俺の遊び相手をさせられていた女の子だ。


別に年頃の男女というわけじゃないからギクシャクはしないが、主人と従者の線引きは厳しくしつけられているようで、こちらから話しかけない限り特に反応も見せない。


ややつり目がちだが真面目そうな顔付きで、性格の方も見た目通りといったところかね。


しかし年相応に好奇心があったり、甘いものが好きだったりといった所はこっそり観察していて飽きない。


たまにお菓子をあげて餌付けしてみると警戒心の高い猫の相手をしているみたいで面白い。


最初は真面目な顔して断ってきたが、所詮子供、言いくるめて一度食べさせてしまえばこちらのもの。


からかったりするとわたわたと慌てる姿に癒される。


五年後が楽しみなだ。


いや、ロリコンじゃないけどね?


…………。


午後の最初はロバート先生の指導の下、剣術を学ぶ。


ロバート先生はイナホ王国の元近衛騎士を勤めたこともある実力者で、兄二人にも剣術を手解きしていたカスターニャ家お抱えの指南役なんだそうだ。


年の頃は三十代後半で、左足をやや引きずっている。


怪我が原因で若くして現役を引退し、ちょうど長男の剣の指南役を探していたカスターニャ家当主、つまり俺の父親が雇ったんだとか。


やや年はいってるが若々しく、ダンディーなイケメン顔というハリウッド映画に出てきそうな見た目だ。


これで性格がチャラチャラしてれば闇討ちでもしてやるが、近衛騎士をやっていただけあって性格は硬派な体育会系だ。


もっとも剣の訓練自体は脳筋ではなく理論的で、俺の体を考慮した堅実なメニューだ。


アルの経験を除けば木製の模擬剣とはいえ初めて剣を振るうわけだが、自称神様にそこそこ高い剣の才能をもらったお陰か、体が勝手に最適な動きを取ろうとする。


しかも8歳にしてはどうも身体能力が高いらしいのでいくら動き回っても疲れないし、言われたことはその通り行うことができた。


しかしこれだと厳しいメニューに変えられるかもしれないのでほどほどに手を抜いておく。


だいたい小学生低学年を想定した動きで、可もなく不可もなくを目指す。


勉強もそうだが、何かしら飛び抜けた実力があると父親に思われれば、跡目争いやらで面倒なことになりそうだからな。


俺は成人して一人立ちするまでは平々凡々なくらいでいようと思う。


自由に生きるためなら全力で手を抜いてやるぜ!

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