第8話〜ある意味強くてニューゲーム
朝起きて洗面を終え、朝食を取ったらすぐ座学が始まる。
この体は朝に強いらしい。
同い年の幼馴染みメイドが起こしにくる頃にはすっきりとした気持ちで起きることができている。
前世じゃ日付が変わってもゲームや課題をやってるなんて普通だったけど、この世界じゃ日が沈んだらすぐ眠るのが普通みたいだからな。
その代わり朝が早いんだけどな。
日の出日の入りの生活か。
まぁ何の用事もないのに、貴重な蝋燭やらを消費する訳にもいかないんだよな。
やれやれ、不便なことだ。
◇◇◇
基本的な勉強は前世で義務教育を受け、大学まで受かっている俺からしてみれば本当に簡単なものばかりだった。
アルの記憶を元に組み立てれば、国語だって問題ない。
むしろ若いからか新しい知識もスポンジみたいにどんどん吸収していく。
質問には全部すらすら答えるし、なんなら突っ込んだ質問までするもんで、勉強を見てくれる大人も舌を巻いてたよ。
そこ、大人げないとか言わない。
まぁ日本の教育は世界でもトップクラスなんて言われてたし、そもそも漢字、平仮名、片仮名がある複雑な日本語を母国語としてるからかね。
丁寧に教えようとしてくれるボア先生に、逆に色々質問して困らせてやったのは少しだけやり過ぎたかもしれん。
有名な学院を次席で卒業したらしいが、年は19歳と年下のかわいい系の先生だからちょっとイタズラ心が芽生えたんだよ許せ。
答えに詰まってアワアワする姿にキュンとする。
明るい赤毛に茶色い瞳、ぱっちりまぶたで身長は150センチほどの小柄な女の子。
実に守ってあげたい。
………まぁ今は俺の方が小さい訳なんだが。
◇◇◇
今の所、記憶のおかげか子供の体なのに使い勝手に違和感はない。
身長がガクッと下がったのにもすぐに慣れた。
まぁ長年連れ添った息子が縮んでしまったことにはショックを受けたがね。
ちなみにこの国では金髪や明るい赤毛が一般的で、黒髪はほとんどいないそうだ。
顔立ちは欧米系というか、少し腹が深い感じだ。
目鼻立ちがしっかりしてるから、男女の差が大きい。
アルタ、というか俺の見た目は中性的な顔立ちで、ショタ好きなお姉さんにはたまらない見た目だったりするわけだが。
キャラじゃないのでもう少し男前な顔がよかった。
身長に関しては今後に期待しよう。
牛乳ってある?
飲んだからって本当に伸びるから眉唾もんだけど。
◇◇◇
ボア先生は一応俺に座学全般を教える家庭教師のようなものらしい。
三男坊とはいえ貴族の家庭教師を勤める以上、ボア先生もどこかの貴族の令嬢さんになるのかね?
そもそも10歳から入学することができる学院もほとんどが貴族しか入ることができないらしいし。
まぁ庶民の学校もないわけじゃないらしいけど。
というか内輪ネタだが前世で通ってた学校とほぼ同じ名前で笑った。
それはさておき、さすがに歴史や地理学はほとんど初見なのでふざけられなかった。
午前中はボア先生と二人きり(もちろん侍女もいるが)で過ごし、そして昼の少し前には解放される。
まぁ昼は昼で食事のマナーのレッスンのために昼食を食べるようなものだから気が抜けないが。
あ、ちなみにこの国の名前はイナホ公国という。