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第5話〜半端な転生

展開は遅々として進みません。

気が付くと俺は森で倒れていた……


なんて定番なことはなく。


目が覚めると赤ん坊になっていた……!


なんてことも当然のようになく。


見知らぬ天井を眺めていた。


というわけでもなかった。


俺が目覚めてすぐ視界に入ってきたもの。


それは…


◇◇◇


ここで異世界転生ものの定番てやつをおさらいしてみようか。


確かよくあるのが前の世界の姿のままに体を作り直されて送り込まれるパターンと、その世界に合った見た目に創り変われるもの、そして赤ん坊に魂が乗り移るように転生するものがあったはずだ。


少なくとも悪友に教えられた異世界転生あるあるじゃ大まかにそんな感じだったはずだ。


さすがに詳しく転生と転位の違いまで言い始めるとキリがなくなるが。


他にも色々あるんだろうが、俺はそれくらいしか知らない。


さて、異世界に送り込まれたわけだが、自称神様曰く俺の元の体は前衛芸術よろしくスプラッタになってしまったはずだ。


なので最悪の場合は赤ん坊に転生して人生を一からやり直す、なんてこともあり得ると思っていたわけだが。


俺の場合はと言いますと………


◇◇◇


意識が真っ白に塗り潰され、そして次に目が覚めた俺が最初に見たのは、見知った天井だった。


傷やシミすら馴染み深い、生まれてからずっと馴染みのある天井だ。


はっきりくっきりとよく見える。


それが何よりの違和感だった。


ここは元の世界の、つまり日本にある我が家じゃない。


けれど不自然なまでに自然に馴染みがある。


俺は視力の関係で昔からずっと眼鏡だった。


裸眼だと遠くがぼやけてはっきりと見えない。


今は眼鏡をつけてないはずなのに天井の小さな傷やシミすらよく見える。


とりあえず落ち着こう。


まだ慌てるような時間じゃない。


豪奢というわけではないが造りのしっかりとした大きめのベットから抜け出す。


床に敷き詰められたふかふかの絨毯が足の裏をくすぐる。


さて、確かクローゼットの横に鏡があった、はず…


お、あったな。


よーし、深呼吸。


吸って~吐いて~おえっ………


なんて冗談はよしこさんだ。


静まれ俺の心臓。


もっと暑くなれよ!


それはしゅーぞーだ。


もうボケはいいって。


ふぅ。


ちょっとばかし現実逃避はしたが、そろそろ落ち着いてきた。


よし、覚悟を決めよう。


………なんてな。


最初から写ってるんだよなぁ。


大きめの姿見が部屋全体を写していて、つまり寝起きの俺の姿もばっちり写ってますとも。


ベッドの横に立つ、目鼻立ちの整った、肌触りが良くてシンプルだが質の良い寝巻きを着た、育ちの良さそうな少年の姿が。


それは他人のようで他人ではなく、初対面だけど馴染みがある容姿。


結論から言おう。


俺は貴族の少年に、二人分の記憶を持ったまま転生したのだった。


半端なことするなよ自称神様!

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