第4話〜王道展開からのオリジナル
ちょっといつもより長めです。
ようやく能力ゲット。
異世界で自由に生きていいとか、神様まじ太っ腹!
……とかラノベの異世界転生主人公なら思うんだろうな。
でも異世界で自由に生きるって、何をすりゃいいんだ?
モンスターを倒して回って俺最強?
悪人たちを裁いて回って自己満足?
無理無理。
俺、喧嘩とか苦手だわ。
それにまぁ正義感は多少あるけど、積極的に人助けして回ろうなんて柄じゃない。
異世界でハーレムを作ろう!とか?
いや、女は一人で十分だろ。
複数の女を相手するとか精神的にきついわ。
てかぶっちゃけ結婚願望とかないし、趣味に生きられたらそれで十分。
異世界ならではのうまい飯?
知るか。
それなら地球で食い道楽するわ。
そういえば生活水準も何も聞いてないな。
『転生先の世界は地球と比べると、中世くらいの生活水準になる。あと一般的な転生物語にあるような剣と魔法、モンスターのいる世界で間違いはないな。勇者召喚の件で分かると思うが、魔王もいる』
中世とか現代を生きてきた俺には不便すぎる世界だな。
命の危機も多そうだし、どう考えても地球のがいいわ。
『まぁ物は試しだ。あちら側で死んだら地球の輪廻転生の環に戻してあげよう。なんなら勇者ほどではないが、特別な能力を恩恵として与えてもいいぞ』
なにこの神様、追加で更に胡散臭いんですけど。
ご都合主義の臭いがプンプンするぜ………。
そうやって俺に特別な能力与えて何させるつもりだよ。
『何度も言うが、君は自由に生きるといい。私は気に入ったものにはとことん入れ込む質なのだ』
えー………。
じゃあ不老不死とか世界が滅ぼせる程の魔力とか天地創造の力とかもらえる?
『さすがに私の権限を越えた力は無理だ。擬似的な不老不死ならば可能だが、世界を滅ぼせる程の魔力や天地創造の力となると私の管理者としての権限を大幅に逸脱してしまう』
いや、言ってみた、というか思ってみただけだから。
不老不死とか面倒なことになるし、絶対飽きるからいらない。
『では転生先の世界基準で上の下程度の剣と魔法の才能と魔力でどうかね?それならそう簡単には死ぬことはないし、自由に生きるには十分な力だろう』
上の下か。
まぁ別に平均でもいいんだけど、それだと苦労しそうだしな。
適度に楽ができて、それでいて頑張れるってのに上の下はいい案配かもしれないな。
『ついでになにか特殊能力も付けておこう。【鑑定】のスキルと【アイテムボックス】だ。貴重な能力ではあるが、一般人でも持っている者はいる』
お、転生物の定番だな。
まぁあって困るものではないし、中世程度の生活水準じゃあった方が便利だな。
剣と魔法の才能と魔力、それと【鑑定】のスキルに【アイテムボックス】か。
ある意味王道過ぎるほど王道だな。
本当に何もしなくていいんだな?
あとは大概他の作品と差をつけるためにオリジナルな能力があるもんだが。
『では適当な職種や環境に特化したオリジナル能力を造り出してみるとしよう。さすがに権限ギリギリなので、これで最後だ』
入れ込む質ってのは本当らしいな。
まぁここまで色々つけられたんじゃ、うだうだ言ってるのも恥ずかしいな。
オリジナル能力をもらってパッと転生しちまうか。
にしてもオリジナル能力ねぇ。
悪友が送ってくる転生物で変わった能力っていったらゴブリンやスライムからの成り上がりだったり、聖剣になって勇者を導いたり、村人Aなのに最強だったり、奇抜なものだと異世界で自動販売機になってるものもあったな。
さすがにモンスターになるのは論外。
聖剣になるのも当然あり得ない。
別に村人Aでもいいけど最強になるつもりもないな。
てか自動販売機になってどう生きてくんだ?
それに内容が被るってのもなんか嫌だしなぁ。
『ならばここにある【?】ボックスに適当にランダムな単語や職種を入れたので、当たったものに該当する能力を造ってみてはどうだろう?』
う~ん。
ま、それでいいか。
別に使い物にならないごみ能力でも使わなければいいだけだしな。
てかルーレットなんていつ用意したんだ。
五感は未だにないってのに【?】ボックスだけは認識できる。
まぁ今更だな。
『適当に中から掴み取るイメージで引いてみてくれ。時間もないし、引いたらその瞬間転生させる』
え、確認できないのか。
てか時間制限とか聞いてないわ。
『あまり魂だけで隔離しておくのも問題があるのだよ。それに私も神として仕事が山積みでね』
ふーん。
ま、いっか。
適当に引いて、さっさと送って下さいな。
『ああ、ヘルプ機能も付けておくので、困ったことがあれば使ってくれ』
ヘルプ機能?
まぁいいや。
とりあえず時間がないならさっさと【?】ボックスから引いてしまおう。
えっと、イメージで引くって、こんな感じか?
『それでは人の子よ、また会おう』
箱の中から紙を引くイメージをしたその瞬間、俺の意識は真っ白になった。
完全に意識を失う直前に見えた、というか頭に直接送られてきたイメージは、
【博物館】
と書かれた紙切れだった。
……え、どうしろと?
いや、ほんと【博物館】てどんな能力になるんでしょうね?
ノリと勢いのままに適当に画面押して変換したワードが【博物館】なわけですが。
まぁなるようになるでしょう。