第26話〜スウの冒険(中)
けど一月ほど前、ぼくの家族が突然いなくなった。
ぼくの家にはお父さんとお母さん、3人の姉がいたんだけど、その3人の姉がいつまで経っても帰ってこなかったんだ。
3人とも成人していて、里の外に薬草を採りに行っていたから、モンスターに襲われたんじゃないかって捜索隊が組まれた。
けど見つからなかった。
いくら探しても痕跡すら見つからなかったから、拐われたんじゃないかって話になった。
モンスターに襲われたのだとしても、3人全員が痕跡すら残さないなんてあり得ないから。
それに他の獣人の部族から、行方不明になった獣人が複数いることはちょっと前から伝わってきていた。
ぼくはいてもたってもいられず、族長に里の外に姉たちを探しに行く許可をもらいに行った。
お父さんは狩人としての仕事があるし、お母さんは元々体が弱いから。
けど成人していない猫人は里の外に出ることはできない。
大人たちに任せて待っていなさいと言われた。
けど大人しく待ってるなんてできない。
ぼくは大人たちに内緒で少し早いけど成人の儀をやることにした。
まだ5歳になってないけど、トロック鳥の卵を持ち帰れば一人前だと認められる。
だからぼくは朝早くから家を抜け出して森に入った。
門番のロウさんや巡回してるコラさんにはよく話を聞きに行ってたから、どのタイミングで抜け出せばいいのかは知っていた。
初めて入る森の中は思ったより楽に進めた。
危険な動物だっていなかったし、モンスターだってよほど森の奥に行かなければ遭わないって聞いた。
トロック鳥はモンスターが出始める領域の入り口付近の大きな木の上に巣を作るらしいし、うまくいけばモンスターにだって遭遇しないですむ。
それにぼくだって猫人族だ。
もしモンスターに襲われたって素早く木に登ったりうまく逃げるなんて造作もない。
思えばぼくはなんて浅はかだったのだろう。
今まで森の中に入ったこともなければ、ずっと安全な里の中で生活してきたから危機感もなかった。
モンスターにだって低いけど知能がある。
獲物が縄張り深くまでやってきて確実に仕留められるまで様子をうかがったりするのなんて動物だってやる。
それに獲物の前に安易に姿を現すなんてことだってしない。
ぼくはまんまと奥へ奥へと進み、トロック鳥の卵を手に入れた。
そして卵を割らないよう慎重に袋に入れようとした所で、三頭のファングウルフに襲われた。
卵なんてほっぽって降りてきたばかりの木を全力で登っていればなんとかなったかもしれない。
猫人族は身軽だから木の枝から枝へと移動することだって簡単にできる。
でもぼくは卵を割らないよう抱き込んで走り出してしまった。
猫人族は基本二足歩行だけど、四つ足で走った方が速い。
けど卵を持っていたぼくは普通に走って逃げることしかできなかった。




