第25話〜スウの冒険(上)
ぼくの名前はスウ。
誇り高き獣人の戦士だ。
………まだ成人はしてないけど。
猫人族の成人の儀は5歳にならないと受けられない。
ぼくは後半月で成人の儀を迎える。
成人の儀では、一人前と認められるために森の奥に住むトロック鳥の卵を取ってこなくちゃいけない。
トロック鳥はモンスターの住む森の高い木の上に巣を作る。
猫人族は素早さと木登りが得意なことが誇りだから、一人前であることを証明するために成人したその日の内に森の奥に入って卵を取ってくるんだ。
別に取ってこれないで帰ってきても村から追い出されるなんてことはないけど、猫人の戦士や狩人にはなれない。
馬鹿にされるわけでもないし、戦士や狩人になれないだけで他に仕事はいくらでもあるんだけど、メスならともかく成人したオスにとってはみっともないな、って感情がある。
それに里のみんなのほとんどはちゃんと卵を持って帰ってきてるし、体が弱かったりして森に入れなかった人を除けば、モンスターに襲われたりして持って帰れなかった人も別の機会に成功してる。
成人の儀は一度失敗すれば一月は森に入ることを禁じられるから、何度も挑戦するってわけにはいかないけど、人生で一度きりってわけじゃない。
まぁ何度も挑戦する人はほとんどいないんだけど。
猫人族の里は森のすぐそばにあって、森の外にはモンスターはほとんど出てこない。
けどトロック鳥の巣がある、森の奥にはブラックボアやファングウルフみたいな危険なモンスターがいる。
たまに縄張り争いに負けたりしたモンスターが里まで来る事もある。
それを退治したり追い払うのが猫人族の戦士の役目だ。
だから猫人族の戦士はみんなの憧れの仕事なんだ。
猫人族は力はないけど素早い。
とても身軽だし柔軟で、高い木にするする登ることも、小さな隙間に入り込むこともできる。
だから自分たちより強いモンスター相手からも逃げることができるし、捕まらない。
成人の儀で命を落とす人だってほとんどいない。
けど、それでも何年に数人は戻ってこない。
だから成人するまで猫人は里から出ることが許されない。
成人すれば、旅に出ることも他の国に働きに行くこともできる。
族長に許可をもらえばだけど。
もっともぼくは里から出ていくつもりなんかなかった。
成人の儀までまだあったし、それに猫人族の戦士になって里を守る仕事をしたかったから。
けど…。




