第20話〜誘拐じゃないよ!保護だよ!
「駄目です」
わーお、開口一番で「駄目です」いただきました!
屋敷に帰ってきた俺は誰にも気づかれないよう俺の部屋に戻ってきたわけだが、扉の前で待ち構えていたシュリアに抵抗むなしく捕まってしまった。
さすがに「子猫拾ってきたんだけど、飼っていい?」って言って「いいですよ」なんて言われるわけはないとは思ってたけど。
ましてやそれがぼろ布まとっただけの幼女が3人じゃねえ。
色々見えちゃってるし、犯罪的な見た目ではあるけれど。
いや、興奮なんてしてませんよ?
前世じゃ紳士で通ってましたし?
てかなんでシュリアが待ち構えていたのかね?
「ふと目が覚めてしまい、アルタ様がいないことに気付いたので、御待ちしてました」
いや、答えになってないよね?
目が覚めて俺がいないことに気付いたって、シュリアの部屋は隣だろ?
なんで俺の寝室に入ってきてるのよ。
「寝顔を堪能………確認するためです。寝付けないようでしたら温めたミルクをお持ちしようと思いまして」
いや、正確な時間は分からないけど、今は深夜の一時くらいだよ?
おかしいね?
「おかしくありません。おかしいのはいつの間にかお屋敷を抜け出して、子供を3人も拾ってきたアルタ様です」
ぐっ!
それを言われると反論できな、できないか?
いや、確かに俺もおかしいけど、シュリアもおかしくね?
「おかしくありません」
おかしく、ないか。
なんやかんやシュリアに育てられた記憶があるからか強く出れぬ………。
ぬぐぐ。
まぁさすがにそのことをいつまでも話し合ってても仕方ないか。
今はとりあえず、
「なんで飼っちゃ駄目なの?」
「人は飼えません」
「獣人だよ?」
「………はい?」
俺はロリッ娘の頭の辺りを指差した。
そこには人の耳はなく、かといって猫耳もない。
けどボサボサの髪に隠れて猫耳があったであろう痕が覗いている。
「………獣人は飼えません」
「なんで?」
「イナホ王国では獣人の奴隷の所持を認めていないからです」
シュリアはイナホ王国と獣人の関係を教えてくれた。
なんでも獣人は何十年か前にあった人魔大戦の際に人族の味方として戦い、今では獣人のほとんどの部族は人族と平和協定を結んでいる。
だから人族の多くの国では獣人の奴隷を個人で所持することを禁じられているのだそうだ。
もっとも犯罪を犯した獣人などは国の管理で扱われるらしいが。
人魔大戦までは身体能力は優れているものの魔法適正の著しく劣る獣人は奴隷として劣悪な環境で扱われていたそうだ。
人族より力のある獣人は鉱山などの危険の多い場所で働かされていたらしい。
他にも愛玩用だったり、いわゆる性欲のはけ口だったり。
中には見た目のいい獣人同士を交配させて貴族に売り出す商売人までいたそうだ。
平和協定以後は表面上そういったことはなくなり、獣人を奴隷として所持することはできなくなった。
だからシュリアは駄目だって言ったわけね。
正確にはこいつらは奴隷って訳じゃなくて、怪我してて劣悪な環境にいたから保護しただけなんだけど。
それを説明すると、シュリアは深々と頭を下げてきた。
「これは勘違いしてしまい申し訳ありません。猫人族は平和協定に署名した部族でもありますし、保護でしたら何の問題もございません」
なんとか許可が降りた。
ってかシュリアは俺が奴隷を買ってきたか捕まえるかしてきたと勘違いしてたのか?
俺、一応体は八歳よ?
ちょっと傷ついちゃうわー。
「ですがその前に」
ん?
「夜中にお屋敷を抜け出していたことについてお話を聞かせてもらいましょう」
ぎゃーーす!!
まだまだ夜は長そうだ。
とりあえず、屋敷に3人の幼女(猫)がやってきた。




