4話 姉弟は試験を開始する
20:00に投稿すると言いましたね? あれは嘘……では無いんですけど、予約投稿出来てませんでした。(´•̥ω•̥`)<ゴメンナシャイ
あ、明日こそは、しますから。
怒らないで下さい……ね?
リチャードによって別室に案内されると、そこには2人の少年が待っていた。優花達と同じ試験を受ける者だろう。
その少年達は、突然の美少女登場に驚いているようだ。リチャードは特に反応していない。いや、あらかじめ聞いていたから反応せずに済んだ、と言うべきか。
「今回試験を受けるのはお前達4人だ。最初に自己紹介を……そうだな、名前と使用武器、レベルと冒険者になりたい理由の4つでいい。そっちの坊主から始めろ」
「俺からか……名前はザラ、武器は剣、レベルは6。冒険者になりたい理由は、Sランクになって目立ちたいからだ!」
「俺はツガチ。武器は弓で、レベルは9。高ランク冒険者になって大金を稼ぎたい!」
(ん? レベルって職業? 種族? ……考えてもわかんないし、どっちも言えばいっか)
「名前は優花で、メイン武器は短剣、サブに弓だよ。種族レベルはまだ1、職業の方は2。冒険者になるのは、レベルを上げるのと生活の為」
「私は紗香です。メインは弓、サブに杖。後は優くんと同じなので省きますね」
優花達姉弟……姉妹? が自己紹介を終えると、少年2人が微妙な顔をしている。
「種族レベルっていうのは知らないけどよ、そんなレベルで大丈夫か?」
大丈夫だ、問題ない。
そう答えたい優花だったが、それよりも『種族レベルを知らない』という事に疑問を抱いた。紗香も不思議そうに首を傾げている。
唯一リチャードだけは理解していた。
(種族レベル……だと? てことは、こいつら〝上位種族〟じゃねぇか。これはまた、厄介な事になりそうだな……)
今ので分かる人も居るだろう。
種族レベルとは、誰にでもある訳ではなく、上位種族と呼ばれる一部の種族にしか存在しない。研究だ奴隷だと言い出す輩が多かったため、今では殆どが身を隠しており、存在すら知らない者も多いが。
リチャードはため息をついてから口を開く。
「俺はBランク冒険者のリチャードだ。でだ……ザラとツガチ。お前ら、試験中はその目標を忘れろ」
「どうしてだよ」
「上を見過ぎだ、もっと足元を見ろ。難易度の低いダンジョンだと思って舐めているのかもしれないが、ダンジョンでは何があってもおかしくない。気を引き締めろ、良いな?」
「「……了解」」
不満だ! と顔に出ているが、一応は納得したらしい。……しているのだろうか? 不安である。
「リチャードさん、僕達には何か無いの?」
「そうだな……種族レベルはある奴の方が珍しい。あまり人前では話すなよ」
「え? そ、そうなんですか?」
慌てている紗香に対して、優花はザラが「知らない」と言っていたために予想出来ていたのだ。
何はともあれ、自己紹介の終わった優花達はリチャードを先頭にしてダンジョンに向かった。
「お、リチャードさん。今回は4人も居たんですか」
「ああ。将来有望そうなのが2人居た」
何故かチラッと優花達姉弟の方を見るリチャード。その視線の先を確認すると、ダンジョンの入口に居た男は「ほー」と意外そうな声を出す。
「人は見かけによらないってやつですね」
「本当にな……(上位種族だ、とは言えないが)」
苦笑しながら入るリチャードに着いていくと、すぐに階段があり、そこを下りると今度は草原が現れた。ここがこのダンジョンの1階層である。どうすれば地下に草原が出来るのか、是非とも教えて貰いたい所だ。
「明るいね」
「天井も何処にあるのか分からないですね」
リチャード達は普通に進んでいるが、ダンジョン初体験の2人は圧倒されるばかり。数分程歩いていると、定番の敵が出てきた。
「スライムは時間をかければ誰でも倒せる魔物だ。とりあえず1人だけで倒してみろ」
弱点すら教えないリチャード。
だが、スライムの弱点が核であるという事は常識なので、ザラとツガチは別々のスライムに攻撃を始める。
優花と紗香も別々のスライムに向かい……〝一撃で〟仕留めた。リチャードは一瞬固まる。
何が起こったのか説明しよう。
優花が行ったのは、小石の投擲。その場にしゃがみこんで石を幾つか拾うと、スライムに使って投げたのだ。全弾命中で4匹倒した。ちなみに優花曰く、「跳ぶ直前に核の動きが止まるから、その時に狙えば余裕」との事である。無理である。
紗香が行ったのは魔弓術による『ウインドブロー』の付与だ。矢がスライムに当たった瞬間、風の塊が矢から放たれ、再生する余地も無い程にスライムが飛び散った。レアスキルによる攻撃のため、こちらはまだ驚きも少ない。
問題は、その矢が3本同時に放たれていた事だ。紗香曰く、「これくらいは当たり前に出来ないと、優くんの足でまといになっちゃいますから」だそうだ。姉弟揃って色々おかしい。
《取得経験値上昇を重複します》
《白狐がLv2になりました》
《隠密騎士がLv4になりました》
レベルが上がったのを確認した優花は、倒し終わっていないザラ達を見ながらリチャードの元へ。
「リチャードさん、どうしてあの子達は剣を振り回したり、矢で滅多刺しにしてる訳?」
「普通の初心者だからだ」
「あれー、僕らが普通じゃないみたいに聞こえるんだけど……」
「そうだ、お前らはおかしい。異論は認めない」
正当な評価ではあるが、優花はそう思ってないので、リチャードに訂正するよう抗議する。そして、2人のやり取りを見ていた紗香は、
「あの、ずっと気になっては居たんですけど、子供の話し方は気にならないんですか?」
と、リチャードに質問した。
「ああ、お前みたいに丁寧な感じで話してると、他の冒険者だの権力者に舐められるからな。ま、ユウカが居るからお前はそのままでも問題ないだろう」
「うんうん、僕は知ってたよ」
「嘘をつくな」
「えー、ホントなのに……」
優花、嘘つき扱いされて軽くへこむ。
「大丈夫ですよ、優くん。リチャードさんは優くんが可愛いから意地悪してるだけなんです」
「え、それはそれで嫌なんだけど」
「かなり失礼だなお前」
リチャードが青筋を浮かべるも、「冗談だよ」といたずらっぽく笑う優花を見て力が抜けてしまう。リチャードは40代、優花くらいの娘が居てもおかしくない歳なのである。そのため、優花を見ると無条件に和む。
……だから、決してロリコンではないのだ!
そうこうしている内にザラ達が戻って来た。
「はぁ、はぁ……やっと終わった」
「矢が……何本か、ダメになった……」
「まあまあだな。ツガチは弓だから仕方ないが、ザラはもう少し敵の動きを見ろ。これはユウカも言っていた事だが、跳んで来る直前は核の動きが止まる。剣なら、小石で当てるより簡単だろう?」
「小石を基準にする意味が分かんねぇよ……」
「ユウカが実践して見せたからだ」
ザラは優花を見て、『化け物かよこいつ』と思ったが、目が合うと照れて明後日の方向を向いた。
「次は何を倒せばいいの?」
「ボールラビットという魔物だな」
「ボール……」
「ラビット……」
なんとなく見た目の想像がついてしまった優花達。少し移動すると、案の定と言うべきか、丸いもふもふの何かが居た。動物が好きな優花達は即座に魅力される。足元に来たボールラビットをもふもふもふもふ……
「殺さないと、だめですか……?」
「……だ、駄目だ。魔物の中には愛らしい見た目で油断を誘うやつも居る。殺せないのなら合格には出来ない」
もふもふと戯れる猫耳少女。そんな紗香の上目遣いに耐えたリチャードは、ある意味最強かもしれない。
「うぅ、ごめんなさい……」
「ごめんね……」
顔は申し訳なさそうだが、殺し方は全く容赦が無かった。頭を短剣で一刺しである(紗香は優花から借りた)。
耳と尻尾をふにゃっとさせる2人の様子に、ザラとツガチがリチャードへ非難の眼差しを向けた。リチャードはリチャードで悪い事をした気分になっていたが、仕事なので許してあげて欲しい。
2人の試練(試験)はまだまだ続く――
☆☆☆
《現時点の姉弟のステータス》
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:桜城 優花
性別:女
種族:白狐Lv2
第1職業:隠密騎士Lv4
第2職業:【使用不可】(解放条件:種族Lv20)
加護:536/536 (+390)
魔力:577/577 (+280)
技力:272/272 (+140)
筋力:85 (+39)(+20)
耐久:62 (+28)
敏捷:133 (+85)
器用:140 (+65)
精神:159 (+56)
◇スキル◇
『隠密Lv1』『言語理解』
『白炎Lv1』『魔力操作Lv1』
『弓術Lv1』『短剣術Lv1』
『体術Lv1』
◇ユニークスキル◇
『記憶解放Lv1』『取得経験値上昇』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:桜城 紗香
性別:女
種族:姫猫Lv2
第1職業:魔道弓術士Lv4
第2職業:【使用不可】(解放条件:種族Lv20)
加護:250/250 (+134)
魔力:760/789 (+420)
技力:259/259 (+110)
筋力:28 (+14)
耐久:44 (+11)
敏捷:270 (+165)(+20)
器用:139 (+84)
精神:118 (+70)
◇スキル◇
『杖術Lv1』『言語理解』
『弓術Lv1』『魔弓術Lv1』
『魔力操作Lv1』『風魔法Lv1』
◇ユニークスキル◇
『不屈の闘志Lv1』『取得経験値上昇』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なんとなくステータスを一番下に。
何故優花の筋力が低いのか、察しのいい方ならもうお分かりでしょう。(勝手な決めつけ)
文字数稼ぎもとい、この後計算がしやすくなるかなーと。え? 自分のためなのかよって?
……………………。
あ、どうでもいい話なんですけど、耳元で囁いてキスだと誤解されるやつあるじゃないですか。
獣人の耳ってほとんどの場合頭にあるので、あれやってもドキドキしたり、見てる人が勘違いとかしようがないですよね。
以上、どうでもいい話終わりです!