神社
家の近所に小さな神社が有る。
民家が囲っているせいか、素通りしてしまう事が多いような小さな小さな神社だ。
どんな神が祀られているかは判らない。神社の略歴も無いし、社務所も無い。有るのは塗料の禿げた鳥居に、みすぼらしい社殿だけ。
そんな神社に参拝する者の姿など見た事が無い。平日から誰一人として訪れるものが居ないからだ。
ならこの神社はなぜ朽ちないのか。
それは正月や地域の催事には近隣の住人がやってくる。その時ばかりは神社として機能するからなのだ。つまりは限定的に神社としての役割を果たしているだけに過ぎない。
だがそんな事は神社の表向きの顔。
本当の参拝客は深夜に訪れる。白装束を着て頭に蝋燭、手には木槌と五寸釘、藁人形を持って来るのだ。
この神社に祀られているのが荒魂であり、誰かを呪う為に集まっているのだと…