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魔導師の塔および宗教

魔導師と宗教に関する組織

魔導師集団

 現在「叡智の守護者」、「真理の探究者」、「神霊の末裔」という3つの組織が存在し、それぞれ“魔導師の塔”と呼ばれる本拠を持つ。かつて、「魔象界の恩寵」と呼ばれる塔も存在したが、魔導を積極的に使用したため、代行者によって滅ぼされた。

・叡智の守護者(ヴァイスヴァッヘ:ヴァイスハイト・ヴァッヘの略)

・真理の探究者(ヴァールズーハー:ヴァールハイト・ズーハーの略)

・神霊の末裔(エオンナーハ:エオン・ナーハが語源)


①叡智の守護者――ヴァイスヴァッヘ

 グライフトゥルム王国のヴォルケ山地に塔を持つ組織。

 千五百年前、助言者マグダが管理者不在となった後に設立した最古の組織であり、マグダから多くの情報を得ている。そのため、三組織の中では最も強力な魔導が使え、大導師や導師の一部は第六階位の魔導を使える。また、上級魔導師も他の塔より優秀で、第五階位の魔導を使える者もいる。

 神話時代の優秀な魔道具を多く有していること、その魔導具を補修できる小人族と協力関係にあることから、古代の技術を維持している唯一の組織である。

 管理者を絶対者として崇め、管理者の降臨を助けることを目的に行動する。

 暗部として「闇の監視者(シャッテンヴァッヘ)」を有する。シャッテンヴァッヘはそのほとんどが闇森人で僅かに森人がいる程度。組織としては大頭の下に50人の部下を持つ組頭が10人、4人の部下を持つ小頭が100人、一般の(シャッテン)約400人が実働部隊。護衛や暗殺といった任務では小頭を長とした5人一組で行動することが多い。この他にヘクサローンの森の中にある隠れ里に100人程度の見習いと指導員20人程度がいる。

 構成員は三つの組織の中で最も少なく、ヴァイスヴァッヘで約500人(大導師1、導師100、上級魔導師200、一級魔導師以下200)、シャッテンヴァッヘが約600人、魔導具工房の技術者を含めても1500人程度。闇森人が最も多く800人ほどで、森人が約300人、普人族と小人族がそれぞれ約200人という構成。



②真理の探究者――ヴァールズーハー

 オストインゼル島のガオナァハイム山地に塔を持つ組織。

 叡智の守護者に属さなかった一部の魔導師が統一暦元年頃に設立した魔導師の塔。

 マギーアの能力を高め、再び人が宇宙に進出できるほどの文明を築くことを目的に魔導に関する研究を進めている。そのため、魔導の発展を抑制したい助言者マグダとは対立関係にある。但し、ヴァールズーハーも魔導の大量使用の危険性は認識しており、魔導工学の研究に携わる者は導師級の一部のみである。

 魔導師の地位向上のため、グライフトゥルム王国以外の国に魔導師を派遣している。但し、三組織の盟約により、上級魔導師以下の低位の魔導師のみが派遣されている。

 魔導具の収集のため、多くの国に支部があり、遺跡などで発見される魔導具を高く買い取っている。

 配下に「真実の番人(ヴァールヴェヒター)」と呼ばれる間者・暗殺者集団を持つが、シャッテンヴァッヘほどの技量はなく、銀級の狩人と同程度の実力しかない者が過半数を占める。但し、グライフトゥルム王国以外の各国の大都市に支部を持っており、情報収集能力は高い。

 構成員はヴァールズーハーだけで約3000人(大導師1、導師30、上級魔導師100、一級魔導師300、二級以下2500強)、ヴァールヴェヒター約2000人と合わせると、5000人以上が所属している。但し、普人族と獣人族だけで構成され、闇森人や森人はいない。

 大規模な組織であるため、導師たちが派閥を作って権力闘争を行っている。そのため、禁忌を冒すことに対する警戒心が薄く、マグダや四聖獣が監視している。



③神霊の末裔――エオンナーハ

 ゾルタード帝国のツィーゲベルク山脈に塔を持つ組織。

 叡智の守護者に属さなかった魔導師が統一暦元年頃に設立した魔導師の塔。

 自らを管理者の末裔と称し、助言者や四聖獣を排除し、管理者の知識を独占することを目指している。そのため、マグダと敵対関係にあり、グライフトゥルム王国の王室に対立する貴族に暗殺者を派遣するなど、暗闘が続いている。

 配下に「ナハト」と呼ばれる暗殺者集団を持つ。ナハトの構成員は人工的な魔導器ローアを埋め込まれた特殊なマギーアであり、身体能力は闇森人に匹敵する。上位者の命令に盲目的に従うため、自律的な行動が取れない。このため、間者としての能力は低く、暗殺を行う場合でもごく少数の自立行動がとれるナハトが指揮官となって現地で命令を下す必要がある。

 暗殺は基本的に金さえ積めば誰からでも請け負う。暗殺対象によって金額は変わるが、100万マルク(日本円で1億円)は必要で、上級貴族など警備が厳しい者が対象の場合、数十倍に跳ね上がることもある。暗殺の成功率は非常に高く、ゾルダート帝国の軍人であってもほぼ100%の成功率を誇る。唯一、グライフトゥルム王国の要人だけはシャッテンヴァッヘによる警護により成功率は下がるが、必ず失敗するわけではなく、成功例も存在する。

 暗殺で得た資金を魔導器の改造など禁忌に限りなく近い技術の開発に投入しており、マグダが最も危険視する組織である。但し、魔象界からの無制限な魔素の抽出の危険性は認識しており、上位の魔導師が塔の外に出ることは稀である。

 エオンナーハだけで約1000人(大導師1、導師30、上級魔導師100、一級魔導師200、二級以下700弱)、ナハトを含めると2000人と言われている。但し、エオンナーハは普人族だけで構成され、ナハトにごく少数獣人族がいるだけである。



④魔象界の恩寵-ゼーレグネーデ

 レヒト法国の中部にあった魔導師の塔。

 魔象界(ゼーレ)から得られるエネルギーを恩寵と考え、それらを民衆に使うことで支持を集めていた。このため、他の三つの塔とは異なり、宗教的な色合いが強かった。

 ゼーレからの無制限の魔素の流入を招く恐れがあったことから、助言者(ベラーター)が何度も警告したが改善されず、統一暦200年頃に代行者(プロコンスル)によって民衆ごと殲滅された。

 この組織がトゥテラリィ教会の基となっている。



魔導師の階級:

 魔導師にはその力によって以下のような階級が存在する。

 ・大導師:魔導師の塔の最高位

 ・導師:大導師に次ぐ階位で、第五階位の魔導が使用できる。

 ・上級魔導師:第四階位の魔導が使用できる。

 ・一級魔導師:第三階位の魔導が使用できる者のうち、優秀な者。

 ・二級魔導師:第三階位の魔導が使用できる。

 ・下級魔導師:第二階位の魔導が使用できる。

 ・見習い魔導師:第一階位の魔導が使用できる。


魔導使い:

 魔導師は塔に所属する者を指すが、魔導使い(ツァオバラー)は正式な修業を経ていないが魔導を使える者のことを指す。一般的には第二階位程度の魔導しか使えず、魔導師が侮蔑の意味を込めて使うことが多い。市井の治癒師や占い師が魔導使いに該当する。


魔導士:

 魔導師のうち、国家に属する者を魔導士(マギベアムテ)と呼ぶ。魔導師の塔から有償で派遣されることがあり、所属する塔に不利益をもたらさない限り、国に忠誠を尽くすため、重用される。

 魔導士は国家間の戦争に参加することから、一級魔導師以下しか派遣されない取り決めとなっている。仮に上級魔導師以上が魔導士として戦争に参加すると、代行者たちが介入し、上級魔導師を処分することになる。



三塔盟約:

 統一暦210年、魔象界の恩寵(ゼーレグネーデ)の教訓を踏まえ、助言者マグダが中心となり、叡智の守護者、真理の探究者、神霊の末裔の三つの塔の大導師が集まり、極秘裏に盟約を交わした。内容は禁忌を破らないこと、禁忌を破った者を自ら排除することである。

 また、禁忌に関しては情報の拡散を防ぐため、知識を付与する者を厳選することも盟約で定められている。

 大規模な魔導の使用の禁止には戦争への直接的な協力の禁止もあり、潜在的なリスクの排除のため、各国に派遣される魔導師は上級魔導師以下の低位の者に限られる。

 盟約が破られた場合、四聖獣による制裁が加えられることになる。

 統一暦500年頃、真理の探究者の研究者の一部が禁忌を冒し、聖竜による制裁を受けた。その際、塔は徹底的に破壊され、研究に携わった者だけでなく、塔に属する魔導師や間者も殺害された。真理の探究者はその痛手から回復するのに500年近い時が必要であった。そのため、神霊の末裔を含め、すべての塔の指導者は禁忌を冒すことに対し、厳しい処分を科すようになった。



禁忌:

 魔象界からの魔素の無制限な流入から具象界を守るため、高位魔導の無制限な使用の禁止、大規模な魔導具の開発の禁止が禁忌とされた。



トゥテラリィ教

 魔導師の塔の一つであった魔象界の恩寵が代行者に滅ぼされた後、生き残った下級魔導師が起こした宗教。

 トゥテラリィ教は管理者ヘルシャー守護神トゥテラリィとして崇める一神教。レヒト法国では国教となっており、宗教指導者(法王)が国家元首である。

 他国においては四聖獣を神とする四聖獣教が一般的。トゥテラリィ教では四聖獣はあくまで神の使い(聖霊:シュッツハイリガー)であり、信仰されるものの他国とは解釈が異なる。これは代行者である四聖獣に都を滅ぼされたことから、更に上位のヘルシャーのみを信仰することにしたためである。

 魔素溜まりを破壊し、魔獣を滅ぼすことで平和をもたらすという教え。魔素溜まりを破壊する方法は確立していないが、強力な聖堂騎士団を有し、魔獣を討伐している。

 四聖獣は北方(神狼)、東方(聖竜)、南方(不死鳥)、西方(鷲獅子)を意味し、それぞれの方位を冠する四つの教会からなる。

 千年近い長い歴史を持つが、代行者に滅ぼされた集団の末裔ということと、一神教であるため組織が腐敗しており、他国ではほとんど信仰されていない。特にグランツフート共和国はトゥテラリィ教による迫害を逃れた者が建国したため、トゥテラリィ教の布教は禁止されている。但し、トゥテラリィ教の信者の入国は認められている。


①組織

 首都レヒトシュテットに総本山があり、法王が東西南北の四つの教会を統括する。

 各教会はそれぞれの地方を支配する。

 ・枢機卿:総本山で法王を補佐する5名と総主教4名からなる。階位は総主教と同等。

 ・総主教:各教会の最高位。

 ・大主教:大聖堂(東西南北の名を冠した教区を統括する聖堂)の統括者。4名。

 ・主教:聖堂(教区を統括する修道院)の統括者または大主教を補佐する聖職者。

 ・司祭:修道院の統括者(修道院長)または主教を補佐する聖職者。

 ・輔祭:司祭を補佐する聖職者。

 ・伝教師:修道院以外で布教活動をする聖職者。

 ・修道士:修道院で修業する者

 聖職者は基本的に魔導師であるが、最高位である枢機卿であっても第三階位の魔導しか使えず、他の魔導師の塔の上級魔導師程度の能力しかない。

 基本的には修道士になると世俗とは離れ、出家扱いになる。但し、妻帯は可能。

 司祭以上は荘園を有しており、貴族と同列になる。また、世俗の貴族も教会への寄進により、名誉称号を得ることができる。

 各教会には騎士団が存在し、各聖獣の名を冠している。騎士団長は大主教と同列。


②聖堂騎士団

 神狼騎士団、聖竜騎士団、鳳凰騎士団、鷲獅子騎士団があり、それぞれ公称3万の兵力を有している。実体としては2万程度。

 各騎士団には白、黒、赤、青が冠される四つの騎士団からなる(例:白狼騎士団、黒竜騎士団、赤鳳騎士団、青獅子騎士団など)。

 魔導師部隊は存在しない。但し、騎士たちは東方武術と同様に魔導器(ローア)を用いた身体強化を習得しているため、非常に強力。

 優秀な騎士が多いため、法国の主力となっている。

 法王直属の聖霊騎士団が法王庁を守護するが、千名程度と少ないため、十六ある騎士団が輪番制で首都レヒトシュテットに駐屯する。


③総本山

 聖都レヒトシュテットにあるレヒト大聖堂と法王庁を指す。レヒト大聖堂はきらびやかな尖塔が特徴的な美しい建物で、信者たちの参拝が絶えない。法王庁は大聖堂の裏側にあり、法王と5名の枢機卿が国政を行う場所。

 枢機卿はそれぞれ財政、外交、内政、国防、司法を担当する。戦争などの重要な案件は法王と5名の枢機卿の合議で決定される。



四聖獣教(フィーア教):

 四聖獣を神の化身と考える多神教。四聖獣は神狼、聖竜、不死鳥、鷲獅子であり、それぞれ水、土、火、風の四元を表わしている。

 統一的な組織はないが、グライフトゥルム王国では鷲獅子、ゾルダート帝国では神狼、オストインゼル公国では聖竜、シュッツェハーゲン王国では不死鳥の大神殿がある。

 四聖獣を崇めることが教義だが、唯一の禁忌は魔素溜まりを暴走させること。そのため、魔素溜まりに魔素を流し込む行為や、火を掛けるなどして魔獣を暴走させる行為は禁じられている。

 トゥテラリィ教とは教義の違いから対立しているが、宗教的な弾圧を行うことまでは行われていない。


大神殿:

 四聖獣を祀る神殿は地域ごとに独立しているが、総本山となる大神殿が存在する。

 各大神殿はそれぞれの聖獣がいる山近くにある。それぞれ清貧を旨としているため、神殿は極質素な作りであり、神官長は四聖獣に認められた者がなっている。実際には代行者である四聖獣ではなく、助言者が認めた者を四聖獣が承認している。


神殿:

 各神殿は礼拝の場であり、神官たちは祭祀を取り仕切るだけで、四聖獣の力を顕現させるような力はない。しかし、ヴァイスヴァッヘの魔導師が治癒師として派遣されていることが多く、地域の医療機関としての役割も持っている。

 また、貧者の救済のため、施療院や孤児院などが併設されていることが多い。


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