表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレの最強への道が険しすぎる  作者: ふりふり
1/15

プロローグ

燃え盛る業火、湧き上がる黒煙、鼻をつく様な悪臭、そして悔しそうに、悲しそうに泣いている1人の少年。


「死なないでよ!」


銀髪の少年はただただ泣き叫ぶ。血に染まる大地に倒れ込んでいる1人の銀髪の少女に向かって。


周りには少女と同じ様に血を流して倒れている人々が数え切れない程にいるが、少年には目の前の少女しか瞳には映っていない。


力無く片手をそんな少年の頬に当てた少女。痛みと苦しみを堪えて優しく微笑んだ少女の手を必死に掴む少年。


「生き……て……」


それがまだ10歳にも満たないであろう少女が少年にかけた最後の言葉であった。


「嘘だ……」


その言葉に合わせたかの様に隣の木造の家が限界に達して炎を吐きながら崩れ落ちる。


泣く事も忘れてただ呆然と肩を落とす少年。


そんな少年の遥か向こう側の場所では1人の黒ずくめの男が剣を振るい、村人をただ引き裂き命を奪っていた。


少女を殺した犯人がまだ近くに居る。そんな事実は知る由もない少年は涙を拭きゆっくりと立ち上がる。


虚ろな目で空を見上げる少年。闇夜と呼ぶに相応しいその空は無表情に少年を見下ろす。


「いつか、いつか必ずーー強くなる」


静かにそう呟く。


辺りは次第に火の手で染まるだろう。


少年はそれから1度も少女の方を見る事なくこの場から音もなく去って行く。


ルナ・シュヴァル、8歳の出来事であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ