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第3話

どうやら敵意は無いようなので、更に近づいてこちらからも話しかけてみた。

「今、あなたの言った方々はまだ生きているのですか。もし、生きているのであれば是非会いたいのです」

 すると、一匹いや一人がまた話かけてきた。

「生きているも何も、今ではこの星の救世主として皆で崇めております」

それを聞いて、隊員達は皆で喜んだ。地球にいるほとんどが口では生存しているの可能性もあると言ってはいたが、実は諦めていたからだ。その証拠に葬儀を行った家族もあるくらいなのだから。

 前の隊員達が無事でいることを、まず確認したいと思い、集まった者達に案内をお願いしてみた。すると、快く承諾してくれてその場所まで一緒に付き添ってくれたのである。その場所を地図で確認すると、それは文明の痕跡のあった場所に相違なかったのである。

 しばらくして、隊員達の前には十数年前に消息を絶った隊員達が現れて、対面を果たした。

「よくぞご無事で。しかし、連絡が無かったのはどういう訳だったのです」

すると、消息不明になっていた隊員の一人が

「実は、此処に着陸した際に宇宙船が故障してしまったのだよ。私達も怪我を負い死に行くばかりと思っていたところにも、この者達が駆けつけてくれ手当をしてくれたのだ。そして、今こうして此処にいるという訳だよ」

「では、地球でも家族の方々が心配しておりましたので、さっそく地球に無事を連絡しましょう」

そう言って一人の隊員は宇宙船まで戻り、前隊員達の無事を地球の基地に報告した。地球の基地にいた者達から、どっと歓声が上がった。その報は家族にもすぐに伝えられ、亡くなったものと諦めていた者も挙って基地に駆けつけた。

 そして、生存している証拠として、隊員達と話がしたいと言い出すのだった。それについては、宇宙船と現在彼らのいる場所とは距離が離れていてすぐには無理であることを告げた。

 また、簡単な伝言であればそれを彼らに伝えると約束した。その伝言の内容はほとんど一緒で、今元気に過ごしているのかと、安否を気遣うものがほとんだった。それについては、今自分がこの目で見てきたら大丈夫だと答えた。それによって家族が生きていたと知っただけでも活気を取り戻したことは声でわかった。

 連絡を済ませた隊員が皆の集まっている場所に戻ると、更にこの星の住民は増えてきていた。どうやら、その隊員が宇宙船を往復する間に、他の隊員達にこの星で採れた食物などを持ち寄って歓待してくれていたというのである。

「では、皆さんを我々の街にご案内します」

そう族長らしき者が言うとそれに従うように他の者達も歩き始めた。その後について行くとほどなく、この星の中心地に到着した。

 街並みには地球のものと比べるべくもないが、様々な建築物が建ち並び立派な文明の証がそこにあった。郊外には、菜園や田畑まであるという。

 族長らしき者が口を開き、

「これらは全て、天からいらした前の方々から指導を受けたおかげで築き上げられたのです。それまでの私どもの生活は野生した木の実や果物を、或いは獣を狩猟してその場で食事をするというものだったのです。しかし、今や食糧の心配もせず、野獣に襲われる危機からも脱することができました。本当に感謝しております。

 あなた方はこの星に新たに住み移る者達のために調査に来たとも聞いておりますが、あなた達のような方々が多く来られることはこの星にとっても、喜ばしい限りです。いつでも歓迎するとお伝えください」

そう言って、隊員達にお礼を述べた。

 調査隊はあらかたのことを見聞し、調査目的も終えたので次の弟星を目指すことにした。その際に、先着隊のメンバーにも一緒に来るかを訪ねた。

 すると、いずれ来るであろう入植者の為に残るという者と地球に残してきた家族に会いたいので共に連れて行って欲しいという者に分かれた。

 そこで、後者の者達を宇宙船に同乗させることを地球の基地に連絡した。基地からの指示もそれで良いとのことであったので即座に決定をみた。


 こうして、星じゅうの歓迎を受け過ごすうちに、出発する日がきた。帰りたいと言った者を加えた一行は、弟星に向けて旅立ったのである。

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