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聖魔戦記  作者: 西條
始まりは雷鳴と闇
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出会い

 


 途方も無く歩いていると、幸運な事に開けた場所に出た。しかも先程のゴブリまでいる。幸運尽くしだがゴブリは別の人物に追われていた。



 前方に見えるのはローブをしていて顔は見えないが背格好からして十代くらいの少年。


 


 体格は筋肉質から程遠い華奢な体格。筋力にはあまり期待出来なさそうだが左手には私では到底持てそうに無い大剣を軽々と持っていた。


 この人、聖魔学園の生徒?と思うが今聞くのは流石に駄目だなと空気を察する。特に少年の右手に巻いてある包帯が気になるが探究心をグっ堪え、「闇の力解放しないかな」とワクワクした目で少年を見つめる。



 少年は無言でゴブリをジリジリと追い詰める。ゴブリは少年の威圧感に押され一歩、また一歩と後ろに後退りし遂には木にぶつかり逃げ場が無くなった。





「――覚悟するんだな」





 ぼそりと呟くと少年は左手に持っている剣をゴブリへと向け、切り裂こうと構えを取る。




「ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 だけど私はそれを許さず大声で少年の動きをピタリと止めてみせる。


「……なんだ」


 少年は振り向かずに答える。声質はぼそぼそとして聞き取りづらい。昔の私と同じコミュ症臭がプンプンするなぁー。


「あのね、君。忘れてたけどそのゴブリ私が先に追ってたんだよね?横取りはいけな――」



 少年が振り返る。


 全体的に暗いせいかフードからチラリと見える金髪がよく映えている。そしてローブの下に着込んでいるのは紛れもない聖魔学園の制服。



 私は驚き、言葉を詰まらせる。



 少年が聖魔学園の生徒だから驚いたわけじゃない。少年の顔を見て驚いたのだ。


 

 少年の顔がめちゃくちゃイケメンだから驚いたわけじゃない。そういう言い方をすると少年が世紀末ブ男みたいな言い方になってしまう。いや、別に顔は悪くない方だと思う。顔が見えないのだから曖昧な事を言っても許されるだろう。


 少年漫画に出てくるようなガラの悪いヤンキーがかける黒レンズのサングラスを少年はかけていたから私は驚いたのだ。金髪サングラス――パッと見、不良にしか見えない。



(うわー……不良。いまどき聖魔学園にも不良っているんだなぁ)



 物珍しさに不良少年をマジマジと見つめてしまう。好奇の目に不良少年は気を悪くしたのか少し眉をしかめた。


 ヤバい、怒る――!?


「わわわっ!? ご、ごめんなさいっ!ちょっと珍しかったからつい……」


「……珍しい?どこが?」


「聖魔学園にも不良っているんだなーって……あはは。あ!でも私、不良好きですよ!?うん!」


 不良少年の怒りのスイッチを押さないように当たり障りのない事を言っておいた。不良は怒ると収拾がつかなくなると漫画には書いていたが実際見るのは初めてだ。怒らせないように気をつけないと……と私は軽く愛想笑いをした。



「不良……?俺が?」


 本人に自覚は無いらしいが黒いサングラスが決定的に不良の決め手になっている。


 不良少年が自分の獲物のゴブリを横取りしようとしていたので止めには入ったが次の言葉が切り出せないでいた。下手に言って不良少年を怒らせたら多分私は泣いてしまうだろう。



「あっ……!」 


 不良少年の目線は私に向いている。木に追い詰められたゴブリは隙を見計らって一目散に逃げて行ってしまった。


 遠くから見ていた私はゴブリが逃走したことに気づくが当の不良少年は自分のどこが不良なのだと思い耽り全く気付いていない。


「……どうした」


「い、いやー。君って意外に間抜けなんというかなんというか……」


「喧嘩を売っているのか」


「べ、別にそういうわけじゃ……」


「まぁ、いい。ここにいるゴブリを倒せば俺の課題は終わりだ」




 不良少年はゴブリを追い詰めた一本の巨木に視線を戻すと暫く動きが止まった。私は面倒な事に巻き込まれない内にその場を去ろうとするがすぐさま不良少年に「おい」と呼び止められる。気のせいか不良少年の声色は先程とは格段に低い。不良少年がどういう心境なのか、私はすぐに察してしまった。





「は、はい?なんでしょうか?」






「……ゴブリは」



「に、逃げました……」



「……誰のせいで」


「え、えーと……」


 選択肢は一つに絞られている。よそ見をしていた不良少年が悪いとは決して言えない。言えるわけがない!


運命の出会いを貴方は信じますか?


光と闇、陰と陽。

全く正反対の二人は聖魔学園にいる異端者を炙り出せるのでしょうな?

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