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聖魔戦記  作者: 西條
始まりは雷鳴と闇
7/36

追跡

◇◇◇◇◇◇


「あっれー?  ゴブリ見失っちゃったなぁ。おかしいな……先回りしたはずなのに」


 ゴブリの行く道を先回りした結果、私は見事に迷った。どうしたものかと困り果てた私はその場に座り込む。こういう場合は「その場で助けが来るのを待ちましょう」ってテレビでやっていたような気がする。番組名は確か「おサルでも分かる迷子講座」



「いつのまにかユカリはいないしさぁ……はぁ。困った」



溜め息を吐くと偶然にもゴブリが草むらからひょっこりと顔を出した。私は思わず「あ。」と言ってしまいゴブリに気づかれ早々逃げられてしまう。



「ちょ、今度は逃がさないよ!」



 急いで立ち上がるとゴブリを追うべく地面を思い切り踏みしめ雑木林を駆け抜ける――。迷子になった時の約束を破ってしまったが今はそんな事言ってられないよねっ!


今度は先回りをせずに後ろからじわじわ追い上げる。滅多に家から出ない私だが、こう見えて体力と足の速さには自信があるんだっ(ドヤッ)。



「こらーーっ!待てーっ!」


『ぷぎっーーー』



 ゴブリは高音の奇声を発した。黒板の嫌な音に似た声は私の耳を塞がせ、動きを鈍らせた。その隙にゴブリは今の内だ!と言わんばかりに全速力で逃げてしまう。


「うぅ……あのゴブリめ!レベルの低い私に卑怯な手使って!絶対に許さないんだから!」


 未だに耳鳴りがするが何とか堪え、その場で魔法の詠唱を始める――。



「【天から降り注ぐ無数の星屑よ――悪しき者を地の果てまで追い、浄化せよ!】」



 自分で考えた痛々しい呪文を長々と言い終え、手を逃げるゴブリの方へと向け、叫んだ。



「【煌めけ!スターチェイサー!】」


 私の手から発射されたのは煌めく星――では無く星とは遙か程遠い黄色いダシ巻き卵の様なものであった。


 星?はのろのろとゴブリの方へと向かっていくが、すぐにサーッと消失してしまう。


 この太陽世界には星は愚か『夜』が存在しない為、私は星を見た事が無い。だから私のあやふやな星のイメージが【スターチェイサー】をダシ巻き卵にしたと考えられる。もっとも、この世界に星を司る聖魔は存在しない為、誰しも星魔法を使っても私と同じダシ巻き卵になってしまうと思うけど。



「やっぱり失敗かぁ……。 よし、もう一回!」


 私はもう一度【スターチェイサー】を唱えたが反応が無い。


 聖魔が術者に代わり魔法を出す、その対価として支払われるマナ魔力がもう身体に残っていないようだ。魔力は自然回復するものの、ゴブリは待ってくれない。


 魔法が不発の為、かなり差をつけられてしまい、もう前を見ても姿が見えない。見失ってしまった。


だし巻き玉子……‥…‥私はあんまり好きじゃないですね。

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