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聖魔戦記  作者: 西條
豊雲祭
32/36

黄金街道にて


 バスに揺られること一時間。

 私達はレデレアへと続く道――黄金街道に降り立った。


 レデレアへと続く長い長い一本道。

 横を向くと黄金に輝く美しい小麦畑が風に揺られ靡いていた。これが黄金街道と呼ばれる名前の由来だ。



「うっわー……綺麗だねぇ。流石黄金街道。黄金(ゴールデン)だねぇ」


 私は歩きながら周りの風景を楽しむ。これこそが旅の醍醐味だがユカリとクラインは相変わらずの表情だ。二人ともこの黄金畑を見ても何も思わないらしい。



「……そんなに小麦畑が綺麗か?」


「黄金街道って名前だから私は周りに金とかあると思ったぜ。ちぇっ」


 全くこの二人は風景を慈しむ清らかな気持ちが無いのだろうか、と私は呆れた。


「じゃあ空を見なよ! ほらクライン綺麗な青空だよ!」


「マドカ。クラインはサングラスしてんだから青空じゃなくて黒空だぜ」


 両手を高らかに上げ私は空を見上げる。かなり暑いが青空を見れば心が晴れやかになる……ような気がする。あくまで気がするだけだが少なくとも私の心は晴れやかになった。


 対するクラインは即答で「ならん」と断言。


 

「そんなことないよ⁉ クラインも見れば分かるって!」


 私に強要されクラインは渋々空を見上げた。相変わらず表情は変わりなく、「ただ暑い」と声を漏らした。


「もう……確かに暑いけどさぁ。青空見れば暑さなんてドーンッと吹き飛ぶじゃん?」


「流石にドーンッとは吹き飛ば――」





 クラインは空を見つめ言うとド―――ンッ‼と耳を押さえたくなるような音が鳴り響いた。


 これが爆発音だと頭で理解したのは数秒後。ユカリとクラインはとっくに爆発音を察知し戦闘態勢に入っている。


 凄まじい爆発音。その衝撃で大地が揺れ、黄金の小麦畑が横に靡く。

 私は「うわっ⁉」と体勢を崩し尻餅をついた。


 爆発音が鳴り止むとユカリとクラインは私の方を凝視した。私は慌てて立ち上がりすぐさま「違うからね⁉」と弁解。



「わ、私じゃないよ⁉ 確かに「ドーンッッ!」とは言ったけどさぁ……」


「そんなん分かってるって。 あの爆発音なったのは森の方だよな?どうする?急いで森に行くか?それともレデレアで情報収集でもするか?」


 爆発音が聞こえたのはレデレアから少し離れた森。森には雲の聖魔が住む祠がある。もしかすると雲の聖魔の身に何か危険が迫っているのかもしれない。

 しかし案外森に行くよりレデレアで情報収集をした方が雲の聖魔の様子が分かるかもしれない。どっちもどっちだなと私は頭を悩ます。


 数分経っても答えを出せずに悩んでいると痺れを切らしたクラインはある提案を申し出る。



「……こうなれば二手に分かれたらどうだ」


「それは確かに良い考えだがマドカはどうする?森に行っても町に行ってもお荷物になること間違いなし!だぜ」


(よく私の前で言えるなぁ……)


 ユカリの神経の図太さには目を見張るものがあると私は感心した。

 どうやら私はどちらについていってもお荷物のようなので自分一人で行った方が良いなと私は決める。



「ねぇねぇ!二人とも‼ 私一人で森に行くから二人は町で情報収集してきてくれないかな?」


「え、えっ⁉ マドカ一人で大丈夫なのか⁉」


「心外だなぁーユカリ。 私は聖魔学園の生徒なんだからこれくらい出来るって!いや、出来て当たり前‼」



 ユカリは心配そうに見つめるがユカリの心配を吹き飛ばすような――とびきりの笑顔で私はⅤサインを決めた。


周りの風景を楽しみながら旅をする……マドカは旅の醍醐味をマスターしているようです。「なんでも楽しまないと損!」というマドカに対し「早く終わらせたい」という考えのクラインとユカリ。喧嘩をする二人ですが考えは一緒のようです。

私も旅がしたいです。西條でした。

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