聖魔学園についての記録 その2
飛ばしても本編スラスラ読めてしまうので読まなくてもいいのです。
ゲームで言う取説と思ってください。
太陽世界と月世界が誕生して数千年。二つの世界は互いに干渉する事も無く、ただ時が流れて行った。
私がいるのは太陽世界なので月世界がどうなっているかは知らない。これからは太陽世界のその後について語ろう――。
太陽世界は飛躍した進歩を見せていた。聖魔の力『魔法』と人間が努力した結果得た機械による力『科学』を織り交ぜた『魔科学』で人々の生活は一変。
この頃に今も尚、私達が使っている人間と聖魔の力を結集して作った肉体の回復速度を早める《体力回復薬》や魔力が無くなった時に使う《精神安定剤》等の数々のマジックアイテム魔法道具が出来たとされている。
太陽世界が栄えるのと同時に各地で原因不明の黒い影が現れたのも、ちょうどこの頃だ。
それは影、というよりも黒い沼と言った方が適切かも知れない。私達はこの黒い沼に畏怖の念を込めて《闇の境界》と総称している。
闇の境界はいつ、どこに現れるか分からない。噂では闇の境界は月世界に繋がっていると言われているがそれを信じ、飛び込んだ命知らずは誰一人として帰還する事はなった……。
――いつからだろうか?闇の境界から悪魔が湧き出てきたのは……。
どの文献にも悪魔が闇の境界から這い出た具体的な年数は記されていない。いつの間にか悪魔は闇の境界から湧き出し、太陽世界を浸食していったのだ。
〈悪魔〉は月と太陽のように聖魔と対を成す表裏一体の存在。獣型もいれば人型もいる。食事も摂るし、勿論――魔法も使う。
だが悪魔と聖魔には明確な違いがある。
それは『良心』が無いことだ。悪魔には聖魔のように他者を思いやる感情が一切無い。ただ人間や聖魔を襲い悪逆非道の限りを尽くす。破壊神の生まれ変わりとも言えるだろう。
第二の破壊神が現れ、再び世界は危機に陥った。
人々は破壊神が現れた際、世界を救ってくれた世界の創造主ルナサベルンを待った。
しかし人々の祈りは天まで届かずルナサベルンはいつまで経っても現れなかった。
そこで立ち上がったのは後に《英雄》と称えられる少年『アレキサンダー・ステリエ=ディスモール』であった。
アレキサンダーは己の武力や聖魔の力を借り果敢に悪魔に立ち向かった。
その数々の勇姿は現在、歴史に数々の伝説を刻むほどの功績だ。かの有名な《サンドルゲンの戦い》はアレキサンダーただ一人で何千万もの悪魔を打ち負かしたとされる彼の数多くの武勇伝の中でも一番世に知れ渡っている伝説だ。
アレキサンダーは強かった。人間の中では強過ぎる程に。
だが英雄アレキサンダーと悪魔勢の戦いは五十年程で終止符を打たれる。
アレキサンダーは負けた。敗因は二つ。一つは悪魔の繁殖力の速さ。闇の境界から這い出た悪魔は一日で数百。アレキサンダーと主従の聖魔だけでは対応しきれなかったのだ。
二つ目の敗因はアレキサンダーの老化。いくら武力があろうと心強い聖魔がいようとも身体の老いはどうすることも出来なかった。
五十年戦い続けた英雄アレキサンダーはもう戦う事すら出来ないほど衰弱していた……。
刻一刻と増え続ける悪魔。このままでは太陽世界が悪魔で埋め尽くされるのは時間の問題。
アレキサンダーは考えた。「どうすれば太陽世界を救える」と。
考え抜いた末、辿り着いた答えは「英雄を作り出す」事だった。
英雄を作り出す――自分と同じ志の者を集め、英雄に育て上げるのだ。つまりは学校。
太陽暦二千二十年。アレキサンダーは《聖魔学園》を創立した。
《聖魔学園》――……正式名称は『聖なる力を持って魔を祓う学園』。またの名は――。
『英雄を誕生させる場』―――。
筆者 カノリア・バロン
参考資料…エリアーナ・ルル著 『この世界の歴史』
はい、プロローグ終了です。
次話からようやく主人公であるマドカちゃんが活躍します。
……‥…‥え?
マドカ?聞いたことがある?
……‥…‥気のせいですよ、気のせい。




