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嵐が通り過ぎ、ようやく位置の確認を始めることができた。

「基準星を突き止めてから、光波測距儀を用いて位置の確認を行え」

コルイットは、部下に指示を出した。

今の時点では、砲術が一番暇だろうという理由から、その探査の役として、矢井が充てられた。

また、数名の部下を使うことが許された。


「基準星はどこ?」

「わかりません。星図を用いて確認をしていますが、どうも、星図にはないところに星があり、星図にはあるところには星がないのです」

矢井が部下に聞くと、そのような返事が返ってきた。

「どういうこと、それじゃまるで、私たちが星図の適用範囲外に飛ばされたみたいじゃない」

それが本当ならば、この船は太陽系外のどこかにいるということになり、初めての外宇宙探査となるのだが、今はそのようなことを考える余裕はない。

「…でも、それが本当のようです。星図が使い物になりません。これは、歴然とした事実です」

砲術担当の中佐であるガルバイ・エンタードンが矢井に答える。

「では、いまは何処にいるんだ。地球からどれだけ離れているんだ」

「…残念ながら分かりません。基準星が不明となると、地球からの距離を割り出すことも出来ません。三角測量をしようにも既設基準点の場所が不明になっているので、割り出すことも出来ません。現在は、基準星を探すことに全精力を注いでいます」

「引き続き頼む。今解っているのは、数十光年単位で違うということではないようね」

矢井が、ガルバイに指示をしてから、コルイットに報告をするため、部屋を出て行った。


艦長室では、それぞれの部隊長が矢井に質問をぶつけていた。

「…なら、ここはどこなんだ」

「現時点では分かりません。ここがどこかも、なぜここにきてしまったのかも、私たちがどうなるのかも」

矢井が正直に答える。

「…それが、君が下した結論かね。矢井中佐」

「はい、その通りです」

コルイットは、矢井に聞くと、すぐに矢井は答える。

「では、君はいったん下がりたまえ。基準星を発見したら、速やかに知らせるように」

「了解しました。失礼します」

敬礼してから、矢井は艦長室から、再び基準星を探すために、光波測距儀室へ戻った。


艦長室では引き続き、会議が行われていた。

「現在地が把握できない以上、動かないことが得策と思われます」

「うむ、それは同じ考えだ」

コルイットが参謀長の提案にそう返す。

「では、決を採る。現在の位置で停止し、位置が確定してから行動を行う者」

全員が手を挙げる。

「ならば、これで決定だな。本船は、現時点より動くことはしない。光波測距儀により位置が確定されてから、再び行動を行う。では、全員に通達を」

「わかりました」

参謀長が、すぐに立ち上がって艦長室から出ていく。

ほかの面々も、ぞろぞろと出ていくと、残ったのは、コルイットただ一人だった。

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