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「あの銃撃の痕を作るのは大変だったんだ」

崑崙中将が笑いながら矢井に話してくれる。

「元から、あの航海では船を一回も移動せずにしていたから、地球からの船を行き来させることは簡単だったんだ。そして、途中で特撮メイクの達人を少佐として乗船させ、メイクを施してから帰らせたんだ。特撮とかで実際に使われている血のりとかを利用したから、かなり現実に近いものができたと思っていたが、あそこまでだまされるとは予想外だった」

「ふむ、さすが達人と言うだけはあったのだな」

海軍大臣は秘書に何かを伝えて下がらせた。

その後、そう言った。

「やっぱり船動かしてなかったんですね。ラグランジュポイントのL1点から」

「そうだ。動かす理由がないからな。太陽風が来たというのも、実は嘘なんだ。あれはあの間通信を全て切るための口実として使っただけだ。そして、それ以後通信は切りっぱなし。なにせ、9万光年も離れたところにいるんだから、通信をしたところで無意味だ。誰が使うことを考える。一応テストをした者についても、AIは全てを通信エラーとして返すようにプログラムされていたから、したところで無駄だったが」

矢井は、自分の行動を一瞬で思い返していた。

確かに、外部と連絡を取ろうとはしていなかった。

「そして、その数時間の間に、14次元跳躍飛行装置を使いラグランジュポイントL1に移動。そして、それ以来その地点から動かないように微調整をしながらいたんだ。外を見る機会はほぼないし、ずっと太陽からエネルギーを取っていたとしても誰一人として気付かない。そして、地球からは通常であったとしても3日で到着できる距離。訓練としては、きわめて理想的な位置だよ。宇宙空間で地球からも見えないし、すぐそばに太陽があるからエネルギーには困らない。宇宙軍の訓練は、常にこうやって行われてきたんだ」

そして、最後にこう付け足した。

「そうそう、このことは決して外に出さないよう。くれぐれも気を付けたまえ」

はっきりと言ってから、大臣の部屋から出た。

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