(11)
エネルギー補給が完了してから10分が経つと、艦長へ正常に試験が終了したことの報告があった。
「よろしい、では、計画通りに行う。20分後、1万光年離れた連星系があるため、そこに飛ぶ。10分後までに、総員出発時の配置へ付くように命ずる。全船へ通達、10分以内に総員配置へ」
艦長が伝令を通して、下命した時には、すでにほとんどの職員が出発時の配置へついていた。
「そう、なら大丈夫ね」
矢井は、部下から、武器使用に関して、何ら障害がないという報告を受けた。
それから、武器についての権限は艦長にまだあって、使用許可はないということも。
「そのことは分かっているわよ。何かあれば、艦長へ連絡。これは鉄則だものね」
矢井がそう言って笑っていると、矢井がいる武器作戦室へ、誰かが入ってきた。
しかも、息も絶え絶えに、体のいたるところに銃創を作り、明らかに誰かに撃たれたことを示していた。
「か、艦長へ…敵が、敵が侵入……」
扉へ寄りかかりながら、矢井へと言った。
だが、力尽きたようで、その場にばったりと倒れてしまい、それからは荒い呼吸音が聞こえてきた。
「艦長へ緊急連絡。敵が侵入した模様。与えられた権限により、跳躍装置の軌道を停止することを提言。それと、医務班を」
「はいっ」
矢井が近くに備え付けられているマイクを持ちながら、次々と指示を飛ばす。
マイクの先は艦長への、直接電話となっていて、緊急時以外は使われることがないものである。
「こちら艦長。誰だ」
「砲術中佐の矢井加和です。敵が侵入している模様。全エンジンを停止することを提言します」
「提言は受け入れよう。医務班は」
「すでにこちらに来ています」
「護衛をつけろ。敵についての情報は」
「襲われた者は1名のみ、現在把握している情報は無し」
「よしわかった。全ての手で持ち運びができる小型武器のロックの解除を命ずる。全員で掃討作戦を実施せよ」
「了解しました」
電話を置き、すぐに矢井は、矢継ぎ早に艦長からの命令を実行に移すための指示を飛ばした。