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金星、火星、木星の衛星に人が住み始めてから早150年。
太陽系で地球を中心として、それらの星を含めて連邦制の国へと変わった。
単に太陽系連邦国という名前だが、その軍事力は世界を好きなだけ滅ぼすことができるといわれていた。
その中でも、連邦宇宙軍第31師団と言えば、教育師団のことを指す。
遠洋航海として、冥王星まで行って地球まで帰ってくるという単純なコースながら、危険も伴うといった名物となっている訓練コースがある。
このコースを通ることが許されるのは、連邦国立全軍共通教育機関の最高峰、国軍大学校将官部といわれるところに在籍している人たちだけだ。
この人たちこそが、将来の指導者であり、戦略レベルで参謀となり、さらには閣下の敬称を使わせることができる。
いわば、エリート中のエリートだ。
この教育師団に配属されているのは、ほかにも複数いる。
だが、このコースを選択する権利を与えられているのは、そのようなごくわずか、2学年80人のみだった。そのため、ここに選ばれることは、きわめて名誉なことであり、そのことだけで孫代まで語れるというものでもあった。