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244.新たな種子
西方領の林檎園を出発し、南方大陸をひたすら南下し続ける、変化の魔術師。
彼女のことを、人は林檎の魔術師と呼ぶ。
彼女の能力はあらゆる創造物に変化を促す一方で、自分でも自らの力うまくコントロールできずに、故郷を出発して新たな桃源郷の創造を求めるも、未だ林檎園しか持てない状況であった。
熱帯地方を旅する彼女は、海沿いにある国にたどり着いた。
「なんてこと…」
樹が、枯れている。
ここはカカオの産地であったが、この数年間大旱魃が土地を襲い、たくさんの樹が枯れて、収穫量が激減したらしい。
水が枯れ、ひび割れた大地に立つ枯木を見て、変化の魔術師は愕然とする。
「おかしいと思ったんだ。
私の林檎園であんなに雨が降るなんて。
本当だったらこの土地に降ってカカオを育てるはずだった雨が、林檎園にやってくるなんて。
一体、私はどうしたら…」
土地の人から話を聞くと、土地を襲う旱魃が終息すれば、3、4年で新たな樹が成長し、実りを与えるらしい。
変化の魔術師は、旱魃の中で実ったひとつの種子を拾い上げ、両手で覆う。
「この種子に、新たな変化を。
乾きに耐える力を持つ樹に成長しますように」
変化の魔術師は、彼女の手のひらの中で変化した新たな種子を、乾いた大地に放り投げた。




