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242.破壊の魔術師の調査
彼はある島を歩いていた。
そこにある伝承を調査するためである。
「北方探索の任にあった騎士が言っていたのは、ここかなあ…。
間違ってたら、無駄足だな…
わざわざこんな辺境まで足を運んでそれは嫌だ」
鬱蒼とした密林の中を、彼はひとり歩いている。
まもなく寒さ厳しい北国の冬が訪れる。
山頂に積雪がある前に、ひととおりの調査を終わらせなければならない。
祖国の人は彼を、破壊の魔術師と呼ぶ。
彼が荒れ果てて荒廃した大地を、調査と言って、好んで歩き回るからである。
破壊の跡しか見ないよね、と魔術師の仲間のひとりが彼をそう呼んで以降、破壊の魔術師という、ありがたくもない通り名が彼につけられた。
彼が島の中心にある山の頂きに到着すると、白い雪のような霰のような、氷の粒がぱらぱらと舞い落ちてきた。
「今年はもう冬が来るのか…ずいぶんと早い到着だな。
あった、これだ。
これが…遺跡の要石だな。
しかし、民族の別れの場所が列島の中の中途半端な位置にある島にあるとはね。
なんとも興味深い事例だ」
目的のものを見つけた彼は、背中のバックパックからいくつかの道具を取り出して、早速、調査を始めた。




