6、子役になりたい
衝撃の事実に驚いて本題を忘れるところだった。
一息ついてさっそく切り出してみる。
「パパ、ママ、私子役になりたい!」
食卓に響く、3歳児による一世一代の決意表明。
「子役?」
「ああ、いいんじゃないか?」
「ええ、いいわね」
あまりにもあっさりした回答に、思わず椅子から転げ落ちそうになる私。
「ええ?そんな簡単にいいの?反対とか」
「いや?ピッタシなんじゃないか?久遠は世界一可愛いし、むしろなぜ今まで思いつかなかったのか」
「そうねぇ、憑依のおかげで知能が上がって、突然泣かれる心配もないし、幼児なのに常礼儀正しいし、天職ね」
流石我が両親である。
「やったぁ!じゃあさっそくオーディションとかに応募しないと!」
「まった、その前にやることがあるわ」
え、なんだろう。
「プロダクションよ、子役はどこかのプロダクションに所属してないとろくに使ってもらえないのよ」
「ええーそうなんだ、じゃあまずはプロダクションのオーディション?3歳の時間は短いのに……」
「そんなこと気にしてたのか……そうだなぁ……ママ」
「そうね……パパの実家は頼り辛いだろうし、私の実家に頼むとしますか」
「う、ごめん……」
この様子だと両親共に芸能方面のコネを持ってるらしい。
実家は相当な金持ちなんじゃなかろうか。
でも駆け落ちして今はしがないたこ焼き屋なんだよなぁ。
「まあくーちゃんの能力を知れば喜んで協力してくれるでしょう」
「ええーばらしちゃうの?」
「くーちゃん、霊関係はちゃんと勉強しないと危ないの。ママの実家は専門家だから、しっかり話を通しておかないとね」
「そうなんだ」
ママも駆け落ちして家を飛び出したのに、都合よく頼ったりして大丈夫なんだろうか。
まあここは大人に任せるしかない。
「よろしくお願いします」
「ええ、期待しててね」
「パパも頑張るよ」
何を頑張るんだろう。
たこ焼きの差し入れでもするのだろうか。
翌週。母が満面の笑みで私に告げる。
「くーちゃん、プロダクションが出来たわよ」
「出来た?決まったとかオーディションがあるとかではなくて?」
「ええ、新しく芸能プロダクションを作ったの、ママが社長よ」
「ウソでしょ!?」
母が社長となる子役事務所「エターナルプロダクション」が爆誕するのだった。