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5、久遠のチートすぎる才能

「パパ、ママ、ちょっとお話があるの」

「あら、どうしたの?」

「なんだ改まって、む、男か?久遠にはまだ早いぞ!」


子役をするなら親に相談せねばなるまい。

私はさっそく夕飯後にそのまま食卓で話を切り出した、

3歳の時は短いのだ。

父は相変わらずの親バカなのでスルー。


「私、天啓を得ました」


「「…………」」


静まり返る食卓に響く一言。

父が腕を組み、母の目が丸くなる。


「え?てんけい?」


「ほう、ついに得たか」


母は困惑、父は知ったかぶってノッてくる。

父はけっこうなオタクである。


「この間寝込んだでしょ?そのときに急に頭が良くなって

具体的に言うと他人の一生を体験したっていうか。

むしろ前世の記憶が蘇ったっていうか」


いきなりぶっちゃける。

私は面倒な隠し事をするなら堂々と全部話す主義だ。

ちょっと前世の記憶があるくらいで私を捨てる両親ではない。

きっと一緒に考えてくれる、それくらい両親を信じているのだ。


「え?前世……?」


母は絶句。


「マジか……娘が転生者だった件」


父は一瞬で受け入れる。

流石だ。


「パパさ、時たま久遠が頭良い事するたび、転生者じゃないかと思って『お前には前世の記憶があるんだろう?知ってるんだぞ』って話かけてたけど、時間差でくるタイプだったか」


「そう言えばパパ、よく分からないことボソボソ言ってたね……ちょっとキモい」


「いやこれ最近の親あるあるだから!みんな割とやってるから!」


「そんなわけないでしょ……」


白けた目を向ける私に必死に主語が大きい言い訳をする父。


「うーん……くーちゃん、それ前世とかじゃないかも?」


と母。

母には何か心当たりがある様子。


「ママの実家って霊媒師の家系でね?

代々直系の女子はその身に神霊を宿して占いとかをして、国政を影で支えたりしてたんだけど」


「えー⁉」


思ってもみなかった方向のカミングアウトに驚く私を尻目に、母はさらりと続ける。


「1週間前はなんだか変な気配がしたし、もしかしてくーちゃん憑りつかれちゃったんじゃない?

もう気配はしないから自力で祓ったみたいだけど」


なんですと?


「確かに腑に落ちる所があるけど…ええ……?そんなことあるの?」


「表に出ないだけで、国政の中枢ほど、意外とオカルトに頼ってるのよ?

うちの実家も株式占って荒稼ぎしてたし」


「……はぇ~」


マジかよ、演技の系統に憑依型ってあるけど、私マジもんの憑依型だった?


「けど変ねぇ、いくら憑りつかれてもその人の持ってた記憶を丸ごと覚えてるのは難しいのに。

大抵霊が離れると定着せずにすぐ忘れていくものよ?」


「あーそれは俺の血かもしれない」


と父。

父もなにか特殊な能力持ちなの?


「俺の家ってみんな何らかの突出した才能を持ってて、完全記憶能力ってのは割とよく出る才能なんだよ。俺のじい様とかも持ってたし」


「あーあの家ならあり得るわね」


どんな家!?

しかしマジかよ、演劇漫画でセリフを一発で覚えるのは定番の能力だけど、

私も持ってたの?


「えっと……つまり私は霊を憑依させるとその霊の知識を自分のものに出来ると?凄すぎない?」


「ゴクリ……我が娘ながらチート過ぎるな……」


どうやらタケルは私の前世ではなかったらしい。

安心したような拍子抜けしたような。


「でも憑依はもうしない方がいいかもね」


母の一言に耳を疑った。


「え、なんで?この能力、すごくない?」


「多分やり過ぎると多重人格とかになっちゃうんじゃないかしら?

本来の性格に影響出るし、未練を残してる霊なんて、大抵ロクな性格してないでしょう?危険すぎるわ」


確かに…危険かも。

タケルの分だけでも結構トラウマとか残ってるし。


「大丈夫よ、こんな能力なんて使わなくても、あなたは世界一可愛くて天才なんだから」


母の言葉に、私は静かに頷いた。


「そのままだと危ないし、そのうち修行とかさせようかしら」


「修行かぁ」


タケルは割と常識人だったけど、確かにヤバい霊とかに当たると大変なことになりそう。

せっかくの能力だけどこれは封印かな。


はぁ、となると私の知識元はタケル一人か。

とはいえ大人一人分の知識があるだけで十分チートだ。

あとは私の努力次第ということ。


でもよく考えると完全記憶も相当あれだな。

まあいっか、これも私だ。

私は遠慮しない。

生まれ持った能力を使わず舐めプ出来るほどこの世界を甘く見ていない。

決して慢心せず、己の力を使いこなし、道を切り開くのだ。


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