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天才子役!天原久遠のオーバーワーク  作者: あすもちゃん
始まりの3歳児編

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41、勃発、当主争い

「お前が次期当主なんて俺は認めない!」


ざわわっと周りがザワめき立つ。こいつ、こんなこと言って大丈夫なんだろうか。

あ、回りのみんな楽しそうにしてるな。

始まった始まった、今回の坊は威勢がいいのーと酒を飲み始めている。

これは私がどう対処するか試されてる感じか。


「えーっと、君はだれかな?」


「俺は三日月竹丸だ!」


「何歳?」


「10歳だ!」


「そう、私は久遠、3歳」


「3歳⁉3歳なのに次期当主の資質があるかなんて分かるもんかよ、どうせ憑依能力があるだけで、直系の女子だからってだけだろ」


「はあ、でも憑依能力が当主の絶対条件って聞いたけど?」


「もう憑依なんて古いんだよ、現に伊波様の代で途絶えようとしていた。いい加減しきたりなんて変えるべきだ!」


「そうだね、私以降は、資質があれば当主になれるって変えてもいいかもね」


「お、おう、意外と話が分かるじゃないか……いや、そもそも俺はお前を当主とは認めない!」


「なんで?」


「俺の方が当主に相応しいからだ!」


バーンと親指を自分へ向ける竹丸。

この子の親は今頃顔真っ赤なんじゃなかろうか。


「そうなんだー、君はなにができるの?」


優しく問いかける。


「俺は人より霊力が強い!どんな霊も一発だ!」


「へーすごーい」


「だから俺と当主の座を賭けて勝負しろ!」


なにをいっとんじゃコイツは。


「へー10歳の男の子が3歳の女の子に勝負ねぇ」


「う、うるせぇ!こんなに小さいなんて思ってなかったから!」


「まあいいや、で、君が負けたらどうするの?当主の座に釣り合うもの持ってるの?」


「負けるなんてありえないが。その時は俺を下僕にでもなんでもすればいい」


いらねー。


「そう、じゃあ指相撲で勝負しよっか」


「指相撲?まあいいけど……って指ちっちゃ!」


「じゃあはっけよーい、のこった!12345678910!」


私は霊力を全開にして竹丸の指を速攻抑えつけ、高速でカウントダウンする。


「はい私のかちー」


「ズルいぞ!」


「ズルくありませーん、私より霊力強ければ抜け出せましたー」


「うっ、ぐぬぬ……」


まだ納得いかない様子。


「じゃあ次、君働いてお金稼いだことある?」


「はあ?あるわけないだろ、俺まだ小学生だぞ」


「私はありまーす、すでに子役として自分でお金稼いでるし、ヨーチューバーとして投げ銭貰いまくってまーす」


「な、なんだと……!お前がヨーチューバー⁉」


ヨーチューバーは小学生のなりたい職業ランキング、毎回上位に位置する小学生の憧れである。


「この時点で私の方がずっと当主に相応しいよね?」


「そ、そんなこと!俺だってやれば出来る!」


「だいたいねぇ、君、当主になってなにがしたいの?」


「俺は月詠家の霊力を使って、誰にも負けない最強の退魔集団にするんだ!」


「ふっ、ガキね」


「なんだよ、じゃあお前は?」


「私はねぇ、まずツクヨミグループをもっと大きくして社員の給料は今の倍、福利厚生もしっかりして、日本で一番働き甲斐のある会社にするの!それでやる気に満ちた社員たちと一緒にどんどんお金を稼いで、海外にも進出して、お金で世界を支配するのよ!」


「ええ?またお金?」


「なによ、お金は大事よ、大体君は月詠家のことだけ考えて、グループの社員のことを何にも考えていない。月詠家なんて精々100人、それに比べてツクヨミグループの社員なんて100万人近い人がいるんだよ?家族も含めればもっとたくさん。その人達の心を掴めば、きっとこのグループはどこまでも行けるわ」


「うぅ……」


「それに霊力を退魔だけに使うだけなんてもったいない、折角便利な力なんだからもっと有効活用するべきだと思うの」


「有効活用?」


「例えば治癒能力を使って死にそうな政治家を救って日本を裏で支配するとか」


「それはどうなの?」


「例えよ!とにかく、私は多角的な視点から月詠家、そしてツクヨミグループ全てを適切に運営し、かつてない繁栄を約束するわ!」


おおおおおーーー!!!

パチパチパチパチ

親族たちから歓声と拍手が巻き起こる。


いつの間にか立ち上がっていた私は両手を広げてそれを受ける。


唖然とする竹丸。


そんな彼の背中をポンと叩くおじさん。


「お前の負けだ竹丸」


「パパ……」


オヤジとかじゃなくパパなんだ。


「久遠様、愚息が大変な失礼をいたしました」


「いえ、こういった声を聞くのも次期当主の勤めでしょう、気にしていません」


「なんという器の大きさ、先ほどの啖呵も聞きほれましたぞ。さ、竹丸も謝れ」


「う……も、申し訳ありませんでした。己の小ささを恥じるばかりです……」


「うむうむ。じゃ、勝負は付いたから竹丸は私の下僕ね」


「「え⁉」」


私の下僕になりたい人は沢山いるのだ、光栄に思いたまえ。


こうして私は月詠家の親族に認められ、下僕を一人得るのだった。




「月詠家って、ほんと変な家だよな……」


後日、家に戻った父はそうボヤく。


「ほんとにね」


「いや、久遠が一番変だったよ?」


解せぬ……。



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