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40、お正月の月詠家

「くーちゃん、お正月だしおばあちゃんちに行くわよー」


「えー」


1月2日。

大晦日と元旦を家でまったり過ごし、さてこのまま寝正月としゃれこもうかな、と思ってたら母が聞き覚えのあるフレーズを放った。


「私はいいよ、パパがかわいそうだし」


「久遠……!」


私は面倒そうだから父を理由に断ろうとする。


「パパももう出禁解除でいいって、だからみんなで行くわよー」


「ええ⁉」


「マジで?でもなぁ妻の実家って、夫は肩身が狭いっていうかぶっちゃけ行きたくないっていうか」


「問答無用。いくわよー」


「ああ~」


「ああ~」


私と父は問答無用で母に引きずられていくのだった。



そんなわけでここは家から30分ほど離れた大豪邸、月詠家。

私は大広間の上座で祖母と母に挟まれて座布団に正座し、大勢の親族の前で紹介されていた。


「ということで、あたしの後の当主はこの久遠になったから」


ざわざわとざわめく親族たち。ていうか親族多いな。100人近くいるぞ。


「あの~ご当主、もう少し詳しく」


そりゃそうだ、ということでではわからん。


「久遠は史上稀に見る霊力と憑依能力、それに完全記憶能力を持っている。能力だけで見るなら歴代でもっとも素晴らしい当主になるだろう」


「か、完全記憶能力ですか?」


「うむ。この能力があれば憑依させた神霊の知識を、完全に自分のものにできるというヤバい能力だ」


たしかにヤバい、とざわめく親族。

この祖母は時々説明が雑なんだが、親族たちはそれに慣れている様子。


「それと言うのも娘の伊波が外の血を取り入れたおかげだ。我々は力を高めるために親族同士で結婚していたが、そろそろ外に目を向ける時かもしれんな。というわけで伊波の夫、天原凪の出禁は解こうと思う」


そう言われて隅っこで肩身の狭い思いをしてる父に視線が集まり、父は更に肩身を狭くする。

その隣りにいる肩身の狭そうなおじいちゃんはもしかして祖父だろうか。

入り婿だろうし、月詠家の夫は代々肩身が狭いのだろうか。


ざわざわと憎々し気に睨んでいる男も多数。

きっと親族同士だし母とワンチャンあると思っていた男たちだろう。


「ああ、それと伊波の話だが。この子には産まれた時から神が憑いていて。そのせいで憑依が出来なかったらしい。だから本当は憑依能力はあったのだ。皆には長い間誤解をさせたの」


おおおーーと一部が盛り上がる。


「で、では伊波様が当主でいいのでは?」


「それがなぁ、神は出ていこうとしないし、伊波にはやる気がさっぱりなくてな」


「むう、伊波様の能力があれば繁栄間違いないと思うのですが……」


私もそう思う。


「当主なんてイヤよー、その代わりくーちゃんのお手伝いはするから大丈夫よ」


「それなら……まあ……」


母の力の信奉者は未だ多そうである。


「さて、では久遠に次期当主の挨拶を……」


「おいお前!」


と勢いよく立ち上がるのは小学5年生くらいの男の子。

なんだなんだ。


「お前が次期当主?こんなちびっこい奴が?冗談だろ」


おっとぉ?お約束の展開が始まりそうだぞ?

私は少し楽しくなってきた。


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