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36、久遠の休日3

「まずはここ……!ここ入ろう……!」


悠里ちゃんが先導し繁華街のアパレルショップが並ぶ通りを歩く。

一件目はカジュアルな子供服が並んでいる店だ。


「ほへー……」


ところで私はファッションには疎い。

美的感覚はそれなりにあるつもりだが、なんせ私の知識の源泉は冴えない男であるタケルだ。

服が必要になったらシ〇ムラで黒い無地の服を買っておけば間違いないと思うような奴だ。

よって奴の知識チートはここでは通用しない。


私自身のセンスはどうかと言うと、3歳にファッションセンスも何もなくない?

というか自分で服を選ぶことはまずないし、ファッション雑誌を読むこともない。

今までは何の疑問もなく母の選んだ服を喜んで着てたし、それが似合うと思っていた。

よって母のセンス如何によっては、私のセンスは世間とズレてるということになる。


……まあ大丈夫でしょ……母はあれでもお嬢様だし、まだ若いからおばさんセンスというほどでもないし。

あ、でも実家では和服なんだっけ。

洋服のセンスは磨かれていない可能性も……


「くおんちゃんどうかした?」


私が悶々と悩んでいると悠里ちゃんに声をかけられる。

ええーい自分のセンスに疑問を持つなど私らしくもない。

私には天性のファッションセンスがある!絶対ある!

っていうか私が選んだ服こそが最先端なのだ!


「ううん、こういうとこ初めて来たから珍しくて。だから瑞希ちゃん選んでくれる?」


「もちろんいいよ……!えーとまずはこれでしょ……⁉」


吹っ切れたのはいいものの、まずは様子見である。

敵を知り己を知れば百戦危うからずだ。

どれどれ最近のお子様ファッションはと。


「それからこれでしょー?これもいいなー」


可愛い系からカッコイイ系まで幅広く選んでいく悠里ちゃん。

自分の専門分野だからかものすごくイキイキしている。

どんどん積みあがっていく試着予定の服たち。

荷物持ちの斎藤も限界に近い。


「あの、多すぎない?お店の人も困っちゃうよ?」


「大丈夫大丈夫……!私ここの常連だから……!」


常連だからって……と店員をチラッと見るとあれ?みんな笑顔で見てるだけだ。

私が不思議そうな顔をしてると、店長っぽい人が語りかけてくる。


「悠里ちゃんのお友だちなら大歓迎よ。悠里ちゃんは服を大事にしてくれるし、センスもいいから私たちもどんな着こなしをするか毎回楽しみにしてるの。それにたまにモデルになってくれるし」


「そ、そうなの?」


お店の人と話がついてるならいいか。でもモデルはマズイのでは?悠里ちゃんも事務所に所属するプロだ。所属前なら問題ないが、これからは気軽に出来ないだろう。

斎藤も難しい顔をしている。


「え?悠里ちゃんプロになったんですか?そうですか……これからは気軽に頼めませんね……」


あ、斎藤がコソコソ店長さんに教えてる。

あとで悠里ちゃんにも注意がいくだろう。

むーん難しい問題だ。私だって街でモデルになってと頼まれれば気軽にOKしちゃいそうだし。


「いえ、本人や事務所の許可があれば写真自体は大丈夫です。広告に載せたりするとライセンス料をいただくことになりますので、これが資料です……」


「なるほど……そんなに高くないのね……じゃあ今度本格的に頼もうかしら……」


え、営業しとる。

どうやら私達が遊んでるだけで商売のチャンスが発生するらしい。

だから母は斎藤を連れていくように言ったのかもしれない。


「じゃ、くおんちゃんこれ着てみて……!」


「う、うん……」


まあ難しい話は大人に任せて、私は大人しく着せ替え人形になるとしよう。


「やっぱり似合う……!」


「うーんこれはちょっと攻め過ぎ……?」


「次はこれとこれ、帽子も被って……!」


「次はみずきちゃんこれ着て……!」


「え!わたしも⁉」


「あんなちゃんはこれが絶対に似合うと思う……!」


「ひぇぇ~~」


…………


……


「も、もう無理よ!」


「ゆうちゃーん、もう疲れたよー」


というような事が5件ほども続き、私達はへとへとだった。


「ええ~……まあ今日はこれくらいでいっか……!」


悠里ちゃん、誰よりもはしゃいでたのに、服のことになると無限の体力を発揮するなぁ。

ていうか結局5件ともお仕事ゲットしてるし、しかも私達の分まで、恐ろしい子である。


「もうすぐ夕方だし帰ろっか」


「さんせ~い」


ぞろぞろと帰宅の道へつく。

と、路地裏にある店が目に入った。


「あ」


このお店は……


「どうしたの?くおん」


ロリィタ専門店「エデン」


私の目は釘付けになり、足は縫い付けられたように動かなくなるのだった。


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