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35、久遠の休日2

「「くーださーいな!」」


「おーこれはかわいいお嬢さんたち。どれにする?」


元気に父に駆け寄る子供たち。

一方私は後ろに隠れ極力気配を消そうとする。


「ん?おお久遠じゃないか、お友だち連れてきてくれたのか?」


「くーちゃんたこ焼き屋さんの知り合いなのー?」


「えーーーーっと、あーーーー……父です……」


「「ええーーー!」」


私は観念して白状する。


「なんだ知らずに来たのか、そういや久遠がここに来るのは初めてだな」


「パパこんな所で働いてたんだ……ていうかすごい流行ってるね」


実は30分ほど並んで、やっと順番が回ってきたのである。


「あーまあな、最近急に流行り出してな。俺としてはあまり流行ってほしくないんだが……そんなわけであまり話し込んでもマズイ、どれにする?」


やる気のない学生アルバイトみたいなことを言う父。

そんなので大丈夫なんだろうか。


「わたしはソースかな」「私は醤油……!」


「わたしチーズ!くおんはどうする?」


「うーん、ていうか家でしょっちゅう食べてるしなぁ……」


「じゃあ久遠には今開発中の高天原スペシャルだな」


「高天原スペシャル⁉」


学生アルバイトが店の食材を使って適当に作った賄い料理のような名前だ。


「はいどうぞーお嬢さんたち、今日はおじさんの奢りだ、これからも久遠と仲良くしてやってくれ」


「ほんと⁉やったーー!」


「わーいありがとー」


「お小遣い浮いた……!」


「はい久遠、800円」


「なんでよ!てか高!」


「ははは、冗談冗談、はい奢り」


「はいはいありがとう」


「じゃあ気を付けて遊べよー、あ、斎藤さんもこれどうぞ」


「え、あ、ありがとうございます、いいんですか?」


「いいのいいの、いつもお世話になってるし」


少し離れて食べられそうな所へ移動する。


「まさかくおんのお父さんだったとはね」


「うう恥ずかしい……」


友達に父を見られるのは恥ずかしいものだが、

さらに学生バイトみたいな父だと尚更恥ずかしい。


「くおんちゃんの意外な一面……!」


「いいお父さんだったねー」


私は顔を赤くしながら高天原スペシャルを食べる。


「⁉なにこれめちゃくちゃ美味しい!」


それは今までの常識を覆すような美味しいたこ焼きだった。

焼き加減もさることながら、味の深みがまるで違う。


「ほんとに?一個交換しよ!」


「う、うん」


「え!ほんとだすごい美味しい!」


「おいしーい」「さすが800円するだけある……!」


みんなとも交換する。

どうなってるんだろう、ソースやタコは同じだと思う、じゃあ生地か……?

出汁に何か高級食材でも使ってるんだろか。

うーむ、ただのたこ焼き屋だと思っていたが、意外と父もやるものである。

開発中だと言っていたが、これが販売されたらすごいことになるんじゃないか?


父の一族は何かしら特別な才能を持つと言う。

考えてみたら父にも何らかの才能があるはずである。

どんな才能なんだろう、料理の才能とか?

うーん、父は適当に見えてかなり秘密主義だからな。

まあ、いずれ分かるか。


「さて、お腹も膨れたし、これからどうするの?」


「これから街に服を見に行きます……!」


どうやら次は悠里ちゃんのターンのようだ。


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