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20、公園で拾い物1

「ママ~いいでしょこれ飼っても~」


「だぁ~め、元の場所に戻してらっしゃい」


「ちゃんとお世話するから~」


夏の終わりのこの日、私は運命の出会いをするのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「あら~久遠ちゃん今日もかわいいわねぇ~」


「ところで奥さん聞きました?2丁目の旦那さんが……」


ここは近所の公園。


私は母に連れられ戦場に来ていた。


「最近駅前に出来たレストラン、行きました?すごく美味しかったわよ~。ただ予約が必要で、お値段もちょっと高めなんですけどね?旦那がいつの間にか予約とってて~」


「まあ、羨ましいわぁ……」


「すごーい、良い旦那さんねぇ……」


ここは主婦たちの戦場。毎日如何に自分の夫は稼いでいるか、如何に自分は愛されてるかを自慢してマウントをとる場である。


「そういえばこの前食べましたよ?天原さんのとこのたこ焼き。旦那が会社帰りに買ってきてくれて、美味しかったわ~」


「ええ、しかもお安いし、あんなに安くて大丈夫なんですの?」


この会話の意味は「私の夫は立派な会社に務めてるのに、お前んとこはたこ焼き屋とかほんと笑えるw」「そんな安いたこ焼きチマチマ売って、大した稼ぎはないんでしょうねぇ」

といった所か。


まったく恐ろしい世界である。


ただ母は、ここではそこまで地位が低いわけではない。

何故なら超絶かわいい私がいるから。


主婦の武器は主に夫と子供だ。

夫や子供が優秀であればあるほど強い。

自分の美貌もあるが人によっては憎悪の対象になる諸刃の剣。


そんなわけで超絶かわいくて天才の私のおかげで母は割と発言力がある。

そのかわり父は集中砲火を浴びているが。


だがその均衡が崩れる時がきた。


「それにしても天原さんは久しぶりねぇ、今まで何してたの?」


「それが、最近お仕事が忙しくてねー」


「まあ!共働きですの⁉それは大変ねえ!」


共働きはかなりカーストが低い、ママ友たちは下剋上のチャンスに目を輝かせる。


「ええ、近所に子役事務所を立ち上げて、そこの社長になったのー」


「「⁉」」


下げてからのカチ上げ、母のコンボがママ友たちのアゴに決まる。


「こ、子役事務所?ってあの噂になってたエターナルプロダクション?」


「え、じゃあ久遠ちゃんを?あ!エターナルって!」


「ええ、くーちゃんが子役やりたいっていうから、実家に相談したら大きい事務所ポンってくれたのー。でもまさか社長も任されるなんて思ってなかったわー。おかげで毎日大変よー」


「「!???????」」


情報量が多く混乱しておられる。

まず子供が子役というのはかなりのステータスだ。

この時点で母はカースト最上位クラスだろう。


そして実家が大金持ちという情報。

夫も重要だが実家も重要だ。


さらに子役事務所の社長。


子供を子役にしたい親からすれば、子役事務所の社長は決して逆らってはいけない存在だ。

靴を舐めてでもご機嫌を取り、もし気に入られればうちの子にもワンチャンあるかもしれないのだから。


「あ、天原さんその話をもうちょっと詳しく!!」


「わ、私前々からたこ焼き屋の妻っていいなって思ってて……!」


ふっ、どうやら勝負は決したようだ。


母はああ見えて負けず嫌いなのである。だってあの武闘派月詠家だし。


私は母の勝利を見届け、適当に遊ぶべく砂場へと向かうのだった。


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