独身男と休日のスーパーマーケット
アジフライ120円、カニクリームコロッケ2つで150円、エビフライ5本で300円。カキフライ5つで350円、他にも寿司、弁当、サラダ類など。
さっきからブラブラと美味しそうなものを探しながら歩いているが、やはり休日朝のスーパーの総菜コーナーは充実していると感じる。それに子供がいたりと人が多くて全体的に普通に賑やか。
俺の場合、スーパーに行けたとしても、いつも行けるのは残業後の閉店間際。
だから、この朝の光景には商品に割引シールを貼っていないことに違和感を感じたり、高くないはずなのに色々と高く感じてしまう自分がいる。
とは言え、基本的には仕事帰りにコンビニで買い物を済ますことが多い俺からすれば、普通に安いのは安いとやはり感じたりもする。
あと、言うまでもなく品揃えはコンビニに比べて何もかもが圧倒的にスーパーの方が多い。何だかんだでそんな久しぶりのスーパーでの買い物、と言うか外出に俺のテンションは若干上がり気味なのかもしれない。
「ふふっ、今日はごめんね。おひとり様一点限りの商品がほんと今日は特に多くてさ」
「いや、別に。俺も買うもんあるから問題ない」
そう。彼女、西野が隣にいるからテンションが上がっているなんてわけではもちろんない。もちろん、ない...。
今も、お目当てのものが全て買えそうだからだろうか、ショッピングカートを押しながら上機嫌に隣からニコニコと俺に話しかけてくる西野美桜がいる。
「あ、牛肉も今日安いじゃん。買っちゃおっと」
まあ、こういうところもやはり男から見ればギャップなのだろうか。美人で家庭的、今もショッピングカードのカゴには卵や醤油など、色々と特売の商品が入っている光景。しかも料理も...彼女が作ったものを一応食べたことがあるが普通に美味かった。気がする。
「ん? 何、じろじろと。ふふっ、これで何を作るかってこと? さあ、何でしょうか!」
でも...これもまた、改めて思うが、いいのだろうか。
いや、別にそっちがいいのであれば俺は問題はないけれど、休日にラフな格好の男女が朝から二人で隣に並んでスーパーで買い物。
見る人によっては...
いや、知り合いとかに彼女が見られても問題ないのであれば、俺は別に...。
いや、そもそもそうは見られないか...。そうだよな。俺と彼女では釣り合っていないものな。だから彼女もこんなに堂々として。
まあ、何度もいうが別に彼女が気にしないのであれば俺はどうでもいい。どうでも...。
また、考える必要がないことを考えてしまっていたが、とりあえず俺も色々と買っておこうかと思う。昼飯はカップラーメンが確かあったし、晩飯とか。
「あ、そうだ!」
「ん?」
何だろうか。
「ふふっ、せっかくだし、今日の夜は一緒に鍋でもしよっか。そろそろいい季節だし!どう?」
「え...」
「ん? 鍋。 あれ? 嫌いだったっけ」
そう言って、今もすぐ隣にいる彼女はまた、俺に優しく微笑みながら問いかけてくる。
「いや、別に嫌いでは...ない」
そう。嫌いでは...ない。