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独身男と鳴り響くインターホン


 確かに静かにはしているようだが...。


 今思えば、いや、今思わなくとも平然と彼女が俺の部屋でのんびりしているこの光景。普通におかしいよな。おかしすぎる。


 「ん? どした?」

 「いや、別に」


 改めて思うが、付き合ってもいない異性の男女が同じ部屋にいることは今の時代では普通なのだろうか。それも大人の男女が。


 まあ、友達が家に遊びに来る感覚と考えれば普通なのかもしれないが、そもそも俺の家に女性の友達が来たことなんて正直ない...。というか女性の友達がいたこともない。


 まず、今も俺の家の机の前で腰をずらして座り、くつろいでいる隣人、西野美桜は友達なのだろうか...。いや、知り合い? 隣人? まあ...別に何でも...。


 「ふふ、え? なに、私なんかおかしなところある?」

 「いや、別に...」

 

 とにかく、女性。それもこんな美女が俺の家にいるこの光景はやはり異常でしかない。そして、その異常に慣れてきてしまっているかもしれない俺の感覚もおそらくかなりの異常...


 そんなことをぼーっとソファにひとり座ってスマホを弄りながら考えてしまう俺。


 と言うか、なぜ彼女に目を向ける度にこうも向こうと目があってしまう...


 勘がものすごくいいのだろうか、それとも...


 「ふふっ、だから何? さっきからジロジロとちょっと恥ずかしくなってくるんだけどー」

 「いや、別に。ジロジロとか見てないし...」

 「いや、さっきからめっちゃ目が合うじゃん。もー」


 まあ、勘がものすごくいいのだろう。そう。勘が...。


 「あ、そうだ。ちょっとだけテレビつけてもいい?見たい番組があって。本当にちょっとだけだから」

 「え、ああ、別に問題はないけど」


 問題は普通にないが、彼女が見たい番組って何だろうか。この時間なら...


 って、何だ。


 「ありがと」


 気が付けば、俺の座る二人掛けのソファーの片方に腰掛ける彼女の姿。


 ま、まあ別にいいが。


 「えーっと、あ、これこれ」


 で、テレビを見るとそこには夕方のバラエティ番組が流れる光景。


 えーっと、カップルデートに最適な遊園地特集...か。ああ、昔からこういうのよくあるよな。


 俺には関係なさすぎて真剣に見たことはないけれど、よく目にはする。


 「この芸人好きでさー、知ってる?」

 「ああ、知ってる知ってる、面白いよな。ちなみにこの芸人が出てる火曜深夜の番組も知っているか?」

 「え、何それ、知らなかった。なになに、何ch?」

 「フッ、6chだ」


 基本的にバラエティ番組とかは好きでよく見るから、芸能人には人よりも詳しい自負がある。まあ、何の自慢にもならないけどな。


 「さすが、半分引きこもり男。詳しいね」

 「おい」

 「ハハハ、ごめんごめん」


 そう言って、隣からいちいち俺の肩に笑いながら手を置いてくる彼女。まあ、彼女のボディタッチが多いことは今に始まったことではないし、もはや癖みたいなもの、特に意味などはないと既に認識はしている。


 認識はしているが、やはり慣れはしない。と言うか、こんなのどうすれば慣れるんだ...。慣れている自分が想像できない。


 まあ、想像する必要もないがな...。


 そして、テレビ画面にはまたさっきとは別の遊園地が映し出される光景。


 でもまあ、今もテレビに映る遊園地に関しては小学生よりも知識がない自信はある。それこそ、もう随分と昔を最後にああいうところには行っていないから。


 確か最後に行ったのが....


 そうだ。


 あの時だ。


 そう。高校の...。


 今も隣にいる...。


 しかも、ちょうど今テレビに映っている...


 そして、気が付けば何故か、真顔になっている隣にいる彼女がさりげなく俺の肩を隣から優しく叩いてくる。


 「ねぇ、雄大くん」

 「え、どうした」

 「あのさ。もし雄大くんさえ、良かったらなんだけど、いつでもいいから、また...」



 ”ピンポーン”


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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが気になります。
[一言] 村田が美人な隣人を認識→村田の好意が隣人へ→絡み度合いが高まる。 後輩はチャンスと支配下の村田を隣人へ仕向ける。(Win-Win) 隣人は仕事関係の後輩へ存在アピールして牽制のつもりが、面倒…
[良い点] 今話の何処を読んでも無自覚イチャラブ系の話なのに、、、このヒタヒタと忍び寄る恐怖映画の様な緊張感は、、、。 ジャンルは、、、うむ、ホラーでは無い。一応。 [気になる点] 開演のベル(チャイ…
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