独身男と通り雨
今日の夜は佐倉と飯か...。とりあえず、よくはわからないが金はそれなりに降ろしておこうかと思う。飯も食ったし、ちょうど今の昼休みの間に銀行で降ろしてくるか。と現在、俺は職場を出て外にいる。
何だかんだで二日酔いもかなりマシになって調子もほぼ戻ってきた。
って、何だ。line。佐倉だろうか。
えーっと、明里? 誰だ。迷惑lineか? などと思いながらもメッセージ画面を開く俺。
『斎藤くん、覚えてますか。高校の時に同じクラスだった本城明里です!お忙しいところにごめんね。ところで同窓会、来れそうですか?』
えーっと、本城明里...。
あぁ、あいつか...。
同窓会の幹事でもしているのだろうか、まあ、やりそう。当時も色々と派手で目立っていたし...。
無視だな。色々とあって、こいつのこと嫌いだし。それに、こいつが幹事なら同窓会は行くつもりはない。いや、そもそも行くつもりはなかった。
俺がいなくて何かが変わるかと言われれば全くもって何も変わらない。
と言うことで無視。関わらなくてもいいのであればもう極力関わりたくはない。
まあ、もう向こうは俺の顔すら覚えていない可能性が高いからどうでもいい。覚えていたらそもそもこんな気軽なlineを送ってこないはずだ。
きっとまだ出席確認ができていない全員に同じようなlineをしているのだろう。俺が返信を返さなかったところで、不参加とみなしてそれで終わり。それだけだ。
でも、確か、同窓会でまた思い出したけど...。
俺の記憶が正しければ昨晩、西野が今度行かないかと誘ってきたところに行く候補日...。
やっぱり同窓会の日だったよな...。
ただ、西野が同窓会に行かないなんて普通に考えてあるのだろうか?そもそも当時のクラスメイト達がそれを許すとは思えない。何か用事があるならば仕方がないということだが、その日に俺を誘ってくるということは空いているはずな気がするけど...。
俺の聞き間違い? いや、多分それはない...。
となると...。
ああ、彼女の方が間違えている可能性が濃厚だな。俺もところどころ記憶があいまいな部分もあるが、西野もかなり酔っていたし。多分、候補日としての日にちを俺に言い間違えた。それだ。
それしかないはず。
まあ、とりあえず、これは既読無視っと。
で、色々と考えていると、もう銀行のATMに到着したが、いくら降ろそう...。
場所決めと予約は佐倉がしてくれるということでもう完全に任せたのだが、まあ...2万ぐらい降ろしておけば絶対に足りる...はず。
それに、おそらく彼女のことだから俺と村田とかとたまに行くあの居酒屋だろう。好きって言ってたし。まあ、別に居酒屋に行っても酒を飲まなければいいだし、別に問題はないだろう。
でも、決まったらlineしますとは言っていたけど、まだ来ていない。
まあ、2万あれば確実に足りる。お金もいりませんとか言われたけど、さすがにそはちょっと...。
「...」
でも、そうか。本城明里か。
嫌な奴を思い出してしまった...。
まあ、もう二度と会うこともないだろうから別にいい...。確か噂では今は銀行員か何かをしているとか聞いた気もするが、それも別に心底どうでもいい。
って、雨?
何だ。晴れているのに急な雨。
通り雨だろうか。
とりあえず、傘なんてないし、ちょっとここでぼーっとするか。