独身男の平日の昼間
何だろうか。何故か村田が魂を抜かれような感じになっていたけれど、本当に今日のあいつ、どうかしていないか?
何かに悩んでいたようだが、何に悩んでいるかを一向に言わない。ちょっとそれは俺にはどうしようもできない。
まあ、あの感じ的にどうせしょうものないことだろうから、別にどうでもいいけども、なんて思いながら俺は予定通り既に会社を退勤、今はコンビニにいる。
それにしても、平日の昼間から家に向かって帰る電車はやはり最高だった。
駅のホームに楽しそうな大学生がいたり、俺と同じ様なスーツ姿の社会人がいたりと、とりあえずいつもと違う非日常にはテンションがどうしても上がってしまう自分がいる。
サボっているのか、こんな真昼間から制服姿の高校生カップルなどもいたけれども、いわゆるあれが青春というやつだろうか。確かにこんなに天気の良い日はデート日和なのかもしれないが、色々とけしからん。
少なくとも俺にはあんな青春は無か...まあ、無かった...はず。
まあ、そんなこともどうでもいい。午後からどう過ごすかということが今の俺の重要課題。それが全てだ。
軽く昼飯でも買って、家でドラマの見逃し配信とかyoutubeとかをぼーっと見る。それは既に確定している。あとは、お菓子を食いながら漫画を読んで....あー、最高だな。まあ、でも、そうか。片づけ。一応だが、片付けもしないといけない。
そう。別に夜に彼女がどうこうの話ではない。せっかく早く帰れるのだからこの機会にというだけの話だ。
とりあえず、こんなに通いなれたコンビニでも、夜と昼、休日と平日、色々と条件が違うだけでこんなにも見え方が違うのか。誇張抜きにコンビニが輝いて見える。
って、そんなことを考えていると、後輩の村田からのlineがスマホに。
今度はまた何だ。
『やっぱり、どうしても今日は無理そうでしょうか』
何だ。こいつの中ではさっきまでの会社でのやりとりがなかったことになっているのだろうか。逆に恐くなってきた...。
まあ、一旦スマホの電源切るか。少なくても自宅に到着するまでの間は。俺の余暇を邪魔する奴は何人たりとも許さん。
それにしても、そうか。12時45分。まだ昼の12時45分。今の時間にニヤニヤが止まらない。
とりあえず、昼飯に軽くサンドイッチと珈琲。あとお菓子でも買ってそろそろ帰ろうとレジに並ぶ俺。
「...」
一応、梅酒でも買っておくか。蜜柑チューハイとかも...。
目に入ったから一応...。