ある夜の美桜の高校時代の友人たち
「美桜、同窓会来るよな。来ねぇと俺マジでテンション下がるんだけど。何だかんだで卒業以降は全く会えてねぇし」
「いや、美桜は来ないでしょ。あの時以降、うちらとほとんど関わらなくなったじゃん」
「いや、いや、いや、あれからもう何年経ってると思ってんの。さすがにもう時効でしょ」
「あー、懐かしいな。確か罰ゲームで好きな人に告白事件だったっけ」
「そうそう、普通さぁ、名前なんだったっけ。あんなのに告白するとかふざけてるとおもうじゃん。美桜ノリよかったし、絶対ドッキリ的な感じでうちら盛り上げようとしてると思うでしょ。それをあんなにキレてさあ」
「それはあれじゃね、明里、お前が美桜に無断で動画上げたからじゃね」
「だって、絶対にバズると思ったんだもん、実際めっちゃバズったし」
「てか、あれ、まだ動画サイトに残ってるよな」
「うん、残ってるよ」
「いやいや、普通せめて消すだろー。そりゃキレるって。何だかんだでドッキリでも相手の男が可哀そうとかアンチコメントも当時割と湧いてたし、ハハ、見る人から見れば美桜が悪女みたいじゃん」
「だって、あんなことで絶交とか言うんだよ。そもそもあいつがあんなのにふざけて告白するから悪いんじゃん。てか、ムカつくから残してたらいつの間にかすっかり動画の存在すら忘れててさ。ま、いいんじゃない。別にあの子から何か言ってくることも今はもうないし、本人も忘れているでしょ」
「ひでぇ、ハハ、明里。お前相手が相手なら訴えられてもおかしくねぇぞ。でも、美桜マジで可愛いかったよな。この動画だって美桜の可愛さと演技力でバズったようなもんだろ。俺、マジで狙ってたもん。まあ、今も同窓会でワンチャン期待してるけど」
「そうだよな。俺も今懐かしくてちょうど再生してるけど、美桜の演技力やばいわ。あいつ、えー、確か斎藤?が騙されるのも仕方ねぇよ。これは俺でも騙されるね。マジ可愛すぎるわ」
「は? 別に美桜とかそこまででしょ。確かに美人かもしれないけど、別に所詮はその他大勢レベルじゃん。当時の私の影響力と企画が良かったからバズっただけでしょ」
「あー、はいはい。確かにそれがでかかったかもな。ごめんごめん。明里のインフルエンサーとしての影響力があってこそだったもんな。てか、そんな怒んなって」
「は?怒ってないし、てか、美桜とかもう彼氏いるんじゃない?顔だけはいいんだし、どうせ男とっかえひっかえとかしてんじゃないの?パパ活とかしてたりしてー」
「いやいや、美桜に限ってそれはないだろ。あいつ性格いいし。一応、lineの苗字は西野だからまだ結婚してないんじゃね。ならまだワンチャンあるって」
「あー、でも当時も美桜マジでモテてたしなぁ、彼氏はいても全くおかしくないけど、ちょうど途切れている可能性もなくはないからな。俺もちょっとこれを機会に美桜にlineでもしてみるか。ハハッ、『久しぶり、同窓会の案内来た?』的な感じで」
「ちょ、テメェ、ずるいって。俺もしよ」
「あー、マジで美桜フリーでいてくれ。絶対俺、美桜と結婚するわ」
「いやいやいや、お前じゃ、無理だから、美桜は俺と結婚するんだよ」
「でも、マジで同窓会楽しみだわ。美桜来ねぇとか絶対無しだからな。俺からも連絡入れとこ。ぶっちゃけ当時の俺、美桜と結構いい感じだったと思うんだよなー」
「いやいや、お前は彼女いるだろうが、ここは俺に譲れ」
「とりあえず、俺らはこういう風にたまに飲んだりするけど、同窓会か。他にも美人になってる奴とかいるだろうし、楽しみだな。明里はマジでもう美桜とは連絡とかとってない感じ?絶交したとは言え、お前ら小学校からの同級生だったろ。確か」
「は? とってないし、てか、さっきから美桜、美桜、美桜ってうざいから。そもそも、女なんて10年あれば色々と変わってるからあんま期待しない方がいいよ」
「そ、そうだな。悪い悪い。とりあえず、ほら、明里。水飲むか。水。ちょっと今日は飲みすぎだぞ」
「は? 別にまだまだいけるから」