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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ

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第98話 ドラゴンはジャコウ猫だった?????

 前回のあらすじ:私が領主ポンポの手品のタネを明かすかどうか悩んだところで、一話当たりの文字数が2000字を越えたので、次回に持ち越しとなりました。


 というわけで、今回の更新で、はたして私は領主ポンポの手品のタネを明かしてしまうんでしょうか?


 じゃらららら、とドラムロールの音が流れて、読者のみなさんを焦らします。


 こういう演出が嫌いな人、きっと早送りするんでしょうね。


 ちなみに作者はyoutubeとかでこういう演出があると、さっさと10秒先に進めるタイプなんですよ。


 と答えを先に引っ張ったところで、ついに公開です。


 …………いいえ、タネを明かすことはありません。


 私、お金を儲けたいので、本心をぐっと我慢して、領主ポンポのプライドを守ることにしました。


 うーん、偉いですね、私!


 私が自分で自分を褒めたところで、領主のポンポは勝ち誇った顔で鼻を膨らませました。


「はっはっはー、これだけ手品がうまくなれば、今年の年末隠し芸大会で上位入選間違いなしだ」


 そう言い残すと、領主ポンポは小躍りしながら館に戻りました。


 ふー、やれやれ、接待成功ですね。


 手配師のゴロンは、私の隣に立つと、小さく拍手しました。


「よく種明かしを我慢できましたね、ユーリューさん」


 なんですかこいつ、上から目線で。


 オーデコロンの匂いもなんかムカツク。


 という本音は、有能手配師に対する接待のために飲み込みました。


「ええ、あなたの意図が読めましたから、接待ぐらいやってみせないと」


「なるほど、腹黒なだけじゃなくて、ちゃんと頭がキレる人でしたか」


 やっぱりこいつの偉そうな態度、気に食わないですねぇ。


 選民意識剥き出しじゃないですか。


 という本音も、やっぱり仕事のために飲み込みました。


「あなたの出した条件はクリアしたんですから、イナズマストーンを買ってくれそうなお金持ちを紹介してくださいよ」


「おやおや、屋敷の清掃は最後までやってくださいよ。それがクエストの内容でしょう?」


 はー、なんて嫌なやつ。


 でも受領したクエストの内容は、たしかに清掃を完了することなので、致し方なく無償奉仕を続けることになりました。


 私はやる気のない清掃を続けながら、イナズマストーンに対する作戦会議を始めました。


「この調子であれば、イナズマストーンを売りさばける相手は見つかりそうですが、肝心のイナズマストーンをどうやって探すかですね」


 僧侶のレーニャさんは、ホウキを雑に動かしながら、こんなことを言いました。


「そもそも重要情報をうっかり漏らした詐欺師のゼランってさ、イナズマストーンの埋まってる場所を知ってたのかしら?」


 戦士のアカトムさんは、なんだかんだ真面目に掃除しながら、館の裏手にある小高い山を指さしました。


「ドラゴンの胃薬っていうぐらいだし、山にあるんじゃないの?」


 武道家のシーダさんは、拳法の技で衝撃波を生み出して、枯れ葉を一か所に集めながら、裏手の山を軽く散策しました。


「もしや、これがイナズマストーンではないのか? VITのアイテム図鑑に描いてある図とそっくりだぞ」


 ええっ!? 希少価値の高い食材が、街中の裏山にあるはずがないでしょう!?


 と思いながら、私も裏手の山に入ったんですが、本当にイナズマストーンが埋まっていました。


 見た目は普通の白い岩なんですが、さざ波みたいな青い模様が入っているので、一目瞭然です。


 でも、なんでこんな近場に、ドラゴンの胃薬が置いてあるんでしょうか。


 もしドラゴンがこんな街中に降りてきたら、大騒動になって帝国軍が出撃するはずですが、そんな話は聞いたことがありません。


 うーん、なにか情報を見落としてますね。


 と思ったとき、私は実家の洋菓子店の厨房に置いてあったイナズマストーンとの違いに気づきました。


「この山に埋まってるイナズマストーン、実家のお店に納品された一品と状態が違いますね」


 色素が薄すぎるし、なによりサイズが大きいです。


 これはどういうことなんだと思ったら、領主ポンポが館の窓から顔を出して答えを教えてくれました。


「そいつを食材として使うためには、ドラゴンにイナズマストーンを食べてもらって、ウンチと一緒に排泄してもらわないといけないのだよ」


 えーっ、ウンチですか!?


 なんか臭そう……っていうか不衛生ですよ……。


 僧侶のレーニャさんも、げーっと心底嫌そうな声で拒絶しました。


「うんち!? そんな汚いものが、お菓子とかに使われてるわけ!?」


 た、たしかに……でもあれって、しっかりしたレシピで使うと本当においしい調味料になるんですよ。


 という感じで私たちが困惑していると、領主ポンポが雑学で教えてくれました。


「安心したまえ。コーヒー豆にも、猫のウンチから採れるものがあってな。あれと原理は一緒だから、ちゃんと衛生面に気を使ってるのさ」


 私は理論的に考えた結果、一つの事実にたどりつきました。


「イナズマストーンを食材として納品したかったら、ドラゴンの生息地である危険な山に登ってから、そこでウンチを探さないといけないんですか?」


「うむ、そのとおり!」


 いろいろな意味で大変なことになってきましたね。


 前回のクエストでは、意図せず魔王の従者と関わることになってしまいましたが、今回はドラゴンですよ。


 うーん、いまの私たちでは荷が重いでしょうか?


 それともドラゴンから逃げ回って、うんちだけ探せば、なんとかなるんでしょうか?

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