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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ

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第96話 タダ働きをしろっていうんですか? くわー、なんて嫌なやつ

 なぜイナズマストーンを探し始める前に、イナズマストーンを買い取ってくれそうな顧客を探すのか、説明しておきましょう。


 これだけレア食材が注目されているときに、高額商品となったイナズマストーンを持ち歩くことは、それだけでトラブルに巻き込まれる確率が上がるからです。


 だから先に顧客を確保してから、次にイナズマストーンを確保して、すぐに顧客のところへ持っていくのがベストになります。


 というわけで、イナズマストーンを買い取ってくれそうなお金持ちを探したいわけですが、我々にはツテがありません。


 それこそ、まともな私営クエストの手配師に探してもらったほうがいいですね。


 この街で真っ先に候補に挙がるのは、ゴロン、という手配師でしょう。


 なにを隠そう、一つ前の話でも登場した詐欺手配師ゼランの弟です。


 実の兄弟なんですが、兄は無能な詐欺師で、弟は優秀な手配師でした。


 というか、ゼランが歪んだ原因は、弟に対する劣等感ですね。


 まぁそんな裏事情なんてどうでもいいので、とにかくゴロンに接触しましょう。


 私たちは街の広場に移動すると、噴水前に構えた出店にやってきました。


 ゴロンがいました。すっきり爽やかな三十代男性です。さっぱりした短髪と、主張の控えめなオーデコロンの組み合わせにより、大人の魅力にあふれていました。


 この街のマダムたちが熱視線を送っています。


 うーん、金持ちの主婦と不倫してそう。


 それはさておき、手配師としては有能なので、さっそく私は声をかけました。


「ゴロンさん、イナズマストーンを買い取ってくれそうなお金持ちにツテはないですか?」


 ゴロンは、清潔に整えた短髪を揺らしながら、ちらっと私の顔を横目で見ました。


「あなたたちみたいな低レベルパーティーが、僕のクエストを請けるつもりになったんですか?」


 彼はグレードの高い手配師なので、お客さんを選ぶ傾向にあります。


 もし彼が紹介したクエストに、胡散臭い冒険者が乗っかってしまったら、彼の信用に傷がつくからです。


 つまりゴロンは、ユーリューたちみたいな低レベルのパーティーはお断り、と言いたいわけですね。


 まぁなんて上から目線。ちょっと気に食わないですねぇ。


 でも私はメンタルが強いので、営業スマイルを浮かべながら、こう言いました。


「当然請けますよ。だって私たち、知名度が出てきたので」


 自分たちの顔と名前にギャグ要素をまぶすことで、広告収入を稼いでいるわけですよ。


 そうであるならば、完全匿名のよくわからない冒険者と違って、社会的な信用があるわけですね。


 と私は思っているわけですが、ゴロンはそうではありませんでした。


「知名度があるだけで、信用はないでしょう。寄生配信の生みの親のくせに」


 ぎくっ。


 痛いところを突かれてしまいました。


 でも私たちの知名度が、彼の情報網に引っかかるぐらいには拡大した証明でもあるので、前向きに考えましょう。


「ならゴロンさんは、どうやったら我々を信用してくれるんですか?」


「こちらの用意した試験クエストをクリアできるなら、あなたたちを信用しましょう」


 ゴロンは、ホウキとチリトリを用意しました。


 もしかして清掃のアルバイトをやれというのでしょうか?


 しかし試験クエストというニュアンスから猛烈に嫌な予感がしました。


「……まさか報酬なしでやれと?」


「当たり前じゃないですか。社会の信用を得たいのでしょう?」


 こいつ、報酬なしでクエストを受注しろ、と恐ろしいことを言っています。


 しかしこの街ですと、金持ちにツテがありそうな手配師は彼しかいないので、私たちはひそひそ小声で会議します。


 僧侶のレーニャさんは、こめかみに青筋が走っていました。


「なにが報酬なしよ。あいつちょっと成績がいいからって調子乗ってるわ」


 本当ですよ。許せませんよね、優等生気取りめ。


 戦士のアカトムさんも、ふぅと大げさなため息をつきました。


「ああやってこちらの我慢を確かめて、ふるい落としをかけてるんだね。小悪党みたいなパーティーは、タダ働きを嫌うから」


 すいませんアカトムさん、世間的な我々の評価って、おそらく小悪党寄りなんです…………。


 い、いやでもまぁ、本格的な悪党じゃなくて、ちょっと悪いかもぐらいだから、そんなに気にしなくてもいいかも?


 武道家のシーダさんは、VITを掲げました。


「たとえクエストに報酬がつかなくても、掃除する風景を配信すれば、広告収入がつくんじゃないか?」


 おお、その手がありましたね!


 と私たちは湧き立ったんですが、ゴロンのやつが、神経質な教師みたいな顔でこう言いました。


「当たり前ですが、配信で稼ぐのは禁止ですよ。社会奉仕活動なんですから」


 なにが当たり前だこの野郎、こっちの足元見やがって、と言いかけましたが、ぐっとこらえました。


 偉いですね、私。自分で自分を褒めてあげたいです。


 ふーっと深呼吸して怒りを鎮めてから、イナズマストーンで儲けるために、私は営業スマイルを維持しました。


「そのホウキとチリトリでタダ働きすれば、金持ちを紹介してくれるんですね?」


「もちろん」


「わかりました。タダ働きしましょう。それでどこを掃除すればいいんですか?」


「領主の館です」


 くわー! こいつ権力者に媚びてますねぇ!


 そうやって地元の有力者に顔を売って、手配師のポジションを確固たるものにしようってわけですか。


 なんて打算的なやつ。


 でもこいつに金持ちを紹介してもらわないと、いくらイナズマストーンを発掘しても意味がないわけですよ。


 しゃなーい、受領しますか、権力媚び売りタダ働きクエスト。

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