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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ

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第95話 やっぱり我々はギャグだと思うんです、ギャグ

 シリアスを綺麗さっぱり終わらせたので、ギャグをやりましょう、ギャグを。


 というわけで、我々と読者のみなさんにとっての始まりの町に戻ってきました。


 いやー、やっぱり平和が一番ですね。もう二度と魔王関連のクエストなんて受けたくないですよ。


 さて気持ちを新たにして、ギャグ系のダンジョン配信者として稼いでいきましょうかね。


 以前ご説明したとおり、クエストの依頼は公営と私営があるわけですが、久々に私営クエストを探すことにしました。


 なぜいまさら私営クエストを請けたいかというと、新たに発生したブームに乗っかりたいからです。


 ずばり食材ブームです!


 どうも帝都でグルメマニアのみなさんが、珍味やレア食材を求めて東奔西走した結果、世界中で食に対する関心が高まったんです。


 VITが流通した時代だと、楽しい話題は一瞬で世界を駆け巡りますからね。

 

 で、この手の私的な問題を解決するクエストは、公営ではあまり扱っていないので、私営で探すわけです。


 僧侶のレーニャさんが、VITでレア食材のリストを眺めて、うげーっと嫌そうな顔をしました。


「なんかマズそうな食材ばっかり並んでるけど、帝都の金持ちってこんなの食べたいわけ?」


 まぁたしかにマズそうな食材ではありますね。実際の味はそこそこですけど。


 なんで私が珍味の味を知っているかというと、実家が洋菓子店なので、レア食材を取り扱うからです。


 戦士のアカトムさんは、冷ややかに肩をすくめました。


「帝都の富裕層は、おいしい食材に食べ慣れちゃったから、珍味に興味津々なのさ」


 そういうことでしょう。普通の高級食材に舌が慣れてしまったから、希少価値の高い食材を使いたいだけなんです。


 くわー、なんて贅沢なやつら! 苦しみながら滅べばいいのに!


 武道家のシーダさんは、リストに入っている石ころを不思議そうに眺めました。


「なんで金持ちは石ころを食べたいんだ?」


 繰り返しになりますが、私は実家が洋菓子店なので、石ころの正体を知っていました。


「シーダさん、それはイナズマストーンといって、食べられる石ころですよ。過熱してから急激に冷やすと、ぱらっと崩れて、ふりかけみたいになるんです」


「石ころのふりかけ? それっておいしいのか?」


「使い方次第ですけど、素人が使ってもロクな味にならないですね。そもそもドラゴンが使う胃薬ですし」


 ドラゴンって、凶悪なイメージと違って肉をほとんど食べなくて、木とか土とか岩を好んで食べるので、消化不良を起こすと胸焼けがひどいことになるんですよね。


 だから胃薬必須。


 そんな代物を人間が料理に使うようになったから、滅多に手に入らない高級食材になりました。


 僧侶のレーニャさんは、VITを操作して、クエスト手配師を一覧表示しました。


「ゼランだけは頼りたくないわね」


 ゼラン。いまとなっては懐かしい名前ですね。


 この物語の初めの方で、我々が配信者になるきっかけとなったクエストを手配した怪しい男です。


 だからといって、こいつに恩義は感じないわけですよ。


 だってあのクエスト、私が腹黒だったから切り抜けられましたけど、もしお人好しであったら、権力者にとって都合のいい広告塔にさせられていたでしょうから。


 無論、お色気パーティーのジェナーディみたいにあの状況を逆手に取るやつもいたわけですが、それはまた別の話でしょう。


 そんな懐かしい思い出になっていたはずのゼランが、胡散臭い表情で揉み手をしながら近づいてきました。


「へっへっへ、最近有名になってきたダンジョン配信者のみなさんに、耳寄りな情報があるんですけどねぇ」


 うわ、きた! この疫病神!


 私たちは、なんの迷いもなく彼に石ころを投げつけました。


 バシっバシっバシっバシッ。


 いい感じに石ころがヒットすると、ゼランはひーっと逃げまわりながら怒りました。


「まだなんの説明もしてないのに攻撃してくるんじゃない!」


 そもそも説明するなといってるんです。


 もう少しだけ石ころを投げつけておきましょう。


 ばしばしばしばしばし。


 ゼランはコブだらけになりながら、塀の裏側に逃げ隠れると、またもや怒りました。


「せっかくイナズマストーンが、この町付近で回収できるって話を持ってきたのに、なんて恩知らずなやつらだ!」


 えっ、イナズマストーンが、この街の近くにあるんですか?


 それは耳寄りな情報ですね。


 っていうか、なんでこのバカな手配師は、無料で情報を公開したんでしょうか?


 どうやらゼランは、石ころをぶつけられた怒りで、我を失ったせいで、失言したみたいですよ。


「し、しまった! 石ころをぶつけられた怒りで、つい大事な情報をしゃべっちまった! っていうか、まさか久々の出番だったのに、これで終わり!?」


 はい、終わりです。


 ついでに街の衛兵に詐欺の疑いで通報しておくので、いまから言い訳を考えておくといいと思いますよ。


 さてその間に、私たちはイナズマストーンを買い取ってくれそうなお金持ちを探しましょうか。

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