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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第93話 ゲロを吐いた私と、それがかかったイシュタル

 はい、胃の中が空っぽになるまでゲロを吐きましたので、すっきりしました。


「ご迷惑をおかけしました……」


 私は、おんぶ状態を終わらせて、地面に降りると、素直に謝罪しました。


 盗賊イシュタルは、右半身についたゲロを後処理しながら、がっくりと肩を落としました。


「はぁ…………まぁ今回は許すよ。お前みたいなドンくさいやつが、あれだけのスピードに耐えられるはずもないし……」


 よかった、許してもらえました。


 イシュタルのやつ、なんだかんだ心は広いのかもしれませんね。


 せっかくなら、デリカシーのないところを直せば、もっといい男になると思うんですけど。


 なーんて、余計なことを考えていないで、はぐれた仲間たちと合流したいですね。


 ちなみに足のケガは、勇者エリアフが回復魔法で治してくれました。


 ありがとうございます、我らの勇者!


 しかも勇者パーティーのみなさんは、私を護衛してくれるみたいですね。


 いやぁ、本当にありがたいですよ。善意の集団でステキですね。


 ただし盗賊イシュタルだけ、私に嫌味を言いました。


「ったくよ、こんなくだらないダンジョンのモンスターぐらい、簡単に倒せるようになれよな」


「うるさいですねぇ。こちとら生き残るのに必死なんだから、そんな意地悪なこといわなくていいでしょう」


「バカいえ。死んだらそれまでなんだぞ」


「だってしょうがないじゃないですか。私弱いし、バトルのセンスないし、直接モンスターを倒せないから経験値手に入らないし」


「だーかーら、危ないところには行くなっつってんの」


 勇者エリアフが、突然イシュタルの言葉を翻訳しました。


「イシュタルは意地悪をいってるんじゃなくて【もしどうしても危ないところを冒険したくなったら、俺様に護衛の依頼をしろ、タダでやってやるから】って言ってるんだよ」


 はぁ? なんですかそれ?


 もしかしてこの男、単純なだけじゃなくて、素直になれないタイプなんですか?


 しかもイシュタルのやつ、不機嫌そうな顔でプイっとそっぽを向くと、喋らなくなりました。


 んもう、わけがわからないですよ。


 今日は色々ありすぎて、考えることに疲れました。


 とにかく、はぐれた仲間たちと合流したいです。


 というわけで、私は勇者パーティーと一緒に、一つ上の階層に戻りました。


 どうやらPMCのみなさんが捜索隊を結成してくれたらしく、うちのパーティーが階段のすぐそばにいました。


 僧侶のレーニャさん、戦士のアカトムさん、武道家のシーダさん――三人とも私を発見するなり、ひしっと抱き着いてきました。


「ユーリュー! 生きててよかったわ……」


 僧侶のレーニャさんは、ぐすぐすと鼻水を垂らしながら泣いていました。


「もしかして死んじゃったんじゃないかと思って、ずっと心が痛かったんだ」


 戦士のアカトムさんは、よっぽど私のことを心配していたらしく、青ざめた顔のまま、ぶるぶる震えていました。


「ずっと後悔してた。我が生意気なことをいったせいで、ユーリューが崖から落ちたんじゃないかって……」


 武道家のシーダさんは、悔しそうに下唇を噛みながら、私の手を握りました。


 いつもは熱いはずの体温が、ひんやり冷えていました。


 それだけシーダさんは、後悔していたみたいです。一人の冒険者として、前監督を追跡して逮捕したいと発言したことを。


 結果論だけでいえば、このクエストは私たちの身の丈に合ってなかったんです。


 魔王直属の配下だったし、人間を弱体化させるマジックアイテムまで所持していた……。


 もしかしたらPMCのみなさんでも負けたかもしれない黒幕です。


 でもあくまで結果論ですよ。


 いくらパーティーを組んでいても、行動目的がズレることはよくあるし、それは尊重されるべきことでしょう。


「シーダさんは、なにも悪くないですよ。私はリーダーの務めを果たそうとしただけで、崖から落ちたのは私の能力不足です」


 武道家のシーダさんは、あらためて私に抱き着くと、ふーっと深呼吸しました。


「ありがとう、ユーリュー。やっぱり我は、お前と一緒に冒険するのが好きらしい」


 おおっ、うちのパーティーで唯一ちゃんと強いシーダさんに、そういってもらえると、結構嬉しいですね。


 リーダーやっててよかったです。


 ちなみに僧侶のレーニャさんは、いつもの調子を取り戻したらしく、にやにやしながら、私に耳打ちしました。


「絶体絶命の大ピンチを、ユーリューの大好きな癖のあるイケメンに助けてもらったんだから、乙女心的にはクリティカルヒットだったんじゃないの?」


 んもう、そんなことないですってば。


 腹黒の私が、あんなデリカシーのない意地っ張りな単純バカに惚れるはずないでしょう。


 そりゃまぁ助けてもらった恩義はありますから、いつか借りを返さなきゃいけないなと思っていますけどね。



 *CMです*


 素直になれないカップルたちに送る、今世紀最大の恋愛映画【意地っ張りの恋人たち】


 女は男を信頼していた。男も女を信頼していた。だがもう一歩踏み出す勇気がなかった。なぜなら二人とも意地っ張りだから。


 いつしか月日は流れ、二人は人生の岐路に立つ。


 そのとき二人は、これまでずっと目をそらしてきた真実の気持ちと向き合うことになる。


 はたして意地っ張りの二人は、結ばれることになるんだろうか?


【意地っ張りの恋人たち】――――今年の冬、ロードショー。

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