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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第92話 珍しく真面目なバトルシーンが始まったと思ったのに、結局オチは私のギャグ

 映画の前監督は、私のことを指さして、ぎょっとした顔になりました。


「ああっ! お前、映画の撮影現場で、おれをクビにしたやつじゃないか!」


 はい、その通りです。


 私こそが、あなたを撮影現場から追放したことによって、本命の犯罪者を野放しにしてしまった間抜けですよ。


 っていうか、前監督の顔を注意深く観察してみると、ヘビみたいな髭が生えていて、頭髪の中に角が隠れていました。


「その髭と角、あなたが人間じゃないことに、もっと早く気づくべきでした」


「ふんっ、気づくのが遅かったな。それじゃあ、そこを通してもらおうか」


 もし私ひとりでしたら、前監督の逃亡を防ぐことはできなかったでしょう。


 しかし私をおんぶしている盗賊イシュタルが、堂々と仁王立ちで通せん坊しました。


「逃がすはずないだろうが、魔王の配下を」


「その強気な態度は、このマジックアイテムを前にしても続けられるかな?」


 前監督は、筒みたいな形のマジックアイテムをかざしました。


 するとマジックアイテムが起動して、謎の発光現象が始まりました。


 きらりきらりと鈴みたいな音が鳴りだして、筒の先端から不気味な黒い光が飛び出してきます。


 それはイシュタルを包み込んで、ひゅーんっと不快な音が鳴り響きます。


 いったいなにが起きたんでしょうか?


 それを説明するように、前監督は、わっはっはっと肩で笑いました。


「このマジックアイテムはな、大昔の魔族が作ったもので、人間を弱体化させる効果を持っているのだ。どうだ、恐ろしいだろう?」


 たしかに恐ろしいです。


 だって魔王軍が探していたマジックアイテムは、人間に対してピンポイントで悪影響を与えるものですから。


 うーん、こんなとんでもないモノを私たちが追いかけていたなんて、まさに身の丈に合っていなかったですね。


 依頼主である衛兵隊のみなさん、情報の分析はスピーディーかつ正確に行ってくださいよ。


 それはそれとして、いまこの場をどうやって乗り切るかですよ。


 いくらイシュタルが、勇者パーティーに所属できるほど強くても、マジックアイテムで能力が弱体化してしまったら、魔王直属の配下と戦うのは難しいんじゃないですか?


 と思ったのは、私が弱いからなんでしょうね。


 肝心のイシュタルは、まるで気にしていませんでした。


「たしかにそのアイテムを魔王に使われていたら、面倒だったかもしれないな。だがお前に使われても、まるで脅威じゃないんだよ」


 なんて強気なんでしょう。それだけ自信があるんでしょうか?


 それともハッタリで敵をビビらせようとしているとか?


 うーん、わかりません。だって私、戦闘のプロじゃないですし。


 ちなみに前監督は、鼻で笑っていました。


「抜かせ、青二才の若造が。それだけ能力が弱体化すれば、お前の長所であるスピード能力を活かせないだろうが」


 うん、私もそう思います。


 スピード自慢の盗賊が、スピード能力を落とされてしまったら、長所を失うんじゃないでしょうか。


 でもイシュタルは、まるで動じていませんでした。


「だったら試してみようぜ。俺様のスピードの上限がどんなもんかってな――」


 イシュタルは私をおんぶしたまま、とんでもないスピードで加速して、前監督の懐に飛び込むと――鮮やかに短剣を振り抜きました。


 それらの動作を、私の目でも認識できたんですから、たしかにマジックアイテムで弱体化していたんでしょうね。


 ただし、スピード能力の絶対値が高すぎたので、たとえ弱体化したところで、十二分に速いんですよ。


 こうして前監督は縦にズバっと切り裂かれて、肉体が左右に泣き別れすると、その場にドサリと倒れました。


「は、早すぎる……こんなあっけなく負けるなんて……」


 イシュタルは、筒みたいなマジックアイテムを拾うと、短剣で切り刻んでバラバラに解体しました。


「俺様のスピードは常識外れなんだから、常識的に能力を弱体化させる効果じゃ出力不足だったな」


「おのれ、化け物め…………」


 こうして映画の前監督こと魔王の直属の配下は消滅しました。


 いやぁ、ちゃんと強いですねぇ、この単純男は。


 なんで私をおんぶしたまま、しかもマジックアイテムで弱体化した状態で、普通に勝っちゃうんでしょう。


 ちなみに私はですね、イシュタルにおんぶされたまま、超スピードで動かれてしまったせいで、乗り物に酔ったときと同じ症状を起こしていました。


「うぅ、目がまわりますぅ、ぎもちわるいですぅ……吐きそう……」


「お、おいバカ! 俺様がおんぶしている状態で吐くんじゃねぇ!」


「げろげろー、おげー」


「うわぁ! 俺様の肩にかかってるが!?」


 ず、ずいまぜーん、さすがの私も、これは悪いと思っていますぅ……。


 と謝りたいんですが、一度吐くと、全部吐くまで止まらなくて……。


 げろげろー。



 *CMです*


 ヤンゴーン製薬から、酔い止め薬の提供です。


 その名も【ストップストップ】。


 漁船で酔ってしまうあなたにも、馬車で酔ってしまうあなたにも、これを一錠飲むだけで、あら不思議。


 乗り物酔いが緩和されます。


 三半規管の強い味方、ヤンゴーン製薬の【ストップストップ】、ぜひお試しください!

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