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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第91話 有能アピールですか? くわーっ! いったいなんのためにアピールしてるんですか????

 私は、盗賊イシュタルにおんぶされたまま、悪知恵洞窟の地下ルートを進んでいました。


 明かりがないせいで視界が真っ暗なんですけど、なぜかイシュタルはスムーズに歩いています。


「イシュタル、もしかして暗闇が見えているんですか?」


「高レベルの盗賊であれば、夜目のスキルを持ってるんだよ。だから単独行動するんであれば、明かりはいらない」


 かーっ! なんだか上から目線に感じますねぇ。


 もしかして有能アピールですか?


 しかもイシュタルやつ、さらなる有能スキルを持っていました。


 ここのダンジョンって、悪知恵洞窟って通称じゃないですか。


 だから、そこら中がトラップだらけなんですけど、イシュタルはバンバン解除していくんです。


 トラバサミは重たい石ころを載せるだけで解除してしまうし、ロープを使ったトラップなんかはブーメランで解除していました。


 それだけなら、まぁさすがに高レベルの盗賊ですね、と褒めてやらんこともないんですよ。


 でもイシュタルのやつ、


「おいユーリュー、余計なところ触るなよ。トラップが発動したら面倒だからな」


 なんて上から目線で命令してくるんですよ。


 くわーっ! なんて腹立たしいやつ。


 こういうところがなければ、ただの癖のあるイケメンなのに。


 でもいまの私は、彼におんぶしてもらっている立場なので、直接文句を言えないのが悔しいですね。 


 だから話題を切り替えることにしました。


「ところで最初の質問に戻るんですけど、なんで勇者パーティーがここにいるんです?」


「魔王直属の配下が、人間にとって有害なマジックアイテムを狙ってるって情報が入ってきてな。それを破壊するために動いてるんだ」


「ってことは、やっぱり映画の前監督、魔王軍の関係者だったし、撮影現場に置いてあったマジックアイテムを盗んだんですね」


「そうなるんだけど、だからこそなんでお前らが、魔王直属の配下を追ってるんだよ。身の丈に合ってないだろうが」


「魔王軍という重要情報が、そもそもクエストの依頼書に書いてなかったんですよ」


「誰が依頼者だ?」


「衛兵隊です。映画の撮影現場で連続窃盗事件が起きてて、内部犯が疑われていたから、私たちが雇われたんです。んで、いざ捜査を始めたら、衛兵隊にも共犯者がいて、首謀者は映画の前監督でした」


「だからお前が映画を撮影するだのなんだのって情報がVITで出回ってたのかよ」


「そうですよ。だから私たちは魔王軍の関係者を追っているつもりなんてなかったんです」


「ったく、衛兵隊の見落としが原因かよ。あいつら、組織が大きい分だけ、最新情報が出回るのが遅いから、末端の動きが鈍いんだよな」


「ちなみに、いつ勇者パーティーは、今回の案件が魔王軍の陰謀だって気づいたんですか?」


「最初からだよ。俺様たちは、魔王を倒すために冒険してるんだから、魔王直属の配下が動くと、すぐに情報が入る仕組みになってるんだ」


 ということは、いまごろ衛兵隊にも、今回の案件は魔王軍絡みだと情報が入ったんでしょうね。


 もし衛兵隊が、撮影現場の連続窃盗事件が、魔王軍絡みだと知っていたら、私たちには依頼していないはず。


 いやはや、よくぞ私たちは、こんな身の丈に合わない案件に引っかかってしまったのに、五体満足で生き残れましたねぇ。


 よくがんばりました、私たち。


 と自画自賛してから、その他の疑問も盗賊イシュタルにぶつけてみました。


「ちなみに、なんで映画の撮影現場に、魔王軍が欲しがるほどのマジックアイテムが置いてあったんです?」


「たまにあるんだよ。古物商が派手なデザインの道具をインテリアとして仕入れてきて、それを映画関係者が撮影の大道具に使えると思って買っていくやつ」


「つまり映画の大道具係が、デザイン重視でインテリアを買ったら、それが行方不明だったマジックアイテムだったってことですか?」


「そういうことだ。しかも最近だとVITで撮影現場が配信されるだろ。そのせいで魔王の配下が気づいたんだ。あれは貴重なマジックアイテムだって」


「VIT、良いことも悪いことも起きますね」


「まぁきっと技術が便利になるってのは、そういうことなんだろうさ」


 といった感じで、おんぶ状態で地下通路を歩いていると、私たちの向こう側から、どたばたと足音が聞こえてきました。


 一つの足音を、複数の足音が追いかけているみたいですね。


 その足音だけで、盗賊イシュタルは状況を読み取れたみたいです。


「うちのパーティーが、標的を追いつめたわけだ」


 標的というのが、映画の前監督。


 それを追い詰めたのが、勇者パーティーのみなさんでした。


 つまり盗賊イシュタルと、残りの勇者メンバーたちが、前監督を挟み撃ちにする形になったんですね。


 *CMです*


 足音が気になる盗賊稼業のあなたに、減音ブーツのご提供です。


 敵に気づかれたくない。こっそり忍び寄りたい。そんなニーズにこたえるのが、我らワイヤン革問屋です。


 さぁ、快感の無音ウォークに、酔いしれろ……!


 (犯罪行為には決して使用しないでください)

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